【愛知県の建設業許可】一式工事とは?土木一式・建築一式の許可で請け負える工事の範囲

【愛知県の建設業許可】一式工事とは?土木一式・建築一式の許可で請け負える工事の範囲

一式工事はオールマイティな許可ではありません。建築一式の許可を持っていても、500万円以上の内装工事を単独で請け負えば無許可営業になります。一式工事の定義、附帯工事として認められる範囲、業種の選び方まで愛知県稲沢市の行政書士が解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「建築一式工事の許可を持っているのだから、どんな工事でも請け負える」——このように理解されている事業者の方は、実際にかなり多くいらっしゃいます。
しかし「一式」という言葉から受ける印象とは違い、一式工事はオールマイティな許可ではありません


建築一式工事の許可を持っていても、500万円以上の内装工事だけを単独で請け負えば無許可営業になります。この記事では、一式工事とは何を指すのか、どこまで請け負えるのかを整理します。


【前提の確認】
土木一式工事・建築一式工事は、建設業許可の29業種のうちの2業種です。残る27の専門工事との関係や、各業種の工事内容・例示は建設業許可の29業種一覧と業種の選び方で整理しています。



結論:一式工事と専門工事は別の許可です    CONCLUSION

建設業許可は29業種に分かれており、その内訳は次のとおりです。


区分 業種数 内容
一式工事 2業種 土木一式工事/建築一式工事
専門工事 27業種 大工・左官・電気・管・内装仕上・塗装など


この2つはまったく別の許可業種です。一式工事の許可が専門工事の許可を兼ねることはありません。


29業種それぞれの内容については別記事で解説しています。

一式工事とは何か    DEFINITION

大規模な工事や施工が複雑な工事では、複数の建設業者が関わります。そこでは、企画・指導・調整といった工事全体の総合的なマネジメントが必要になります。


このマネジメントを行う立場の工事が一式工事です。「あらゆる工事を含む」という意味ではなく、「全体をまとめる役割」を指す言葉だとお考えください。


▶土木一式工事/トンネル・橋梁・道路など、土木工作物を建設する工事
▶建築一式工事/ビル・ショッピングモール・住宅の新築など、建築物を建設する工事


原則として元請の立場で請け負う許可です

一式工事は工事全体をマネジメントするものですから、原則として元請として請け負う場合の許可業種です。


下請業者が元請から一式工事をそのまま請け負うという形は、一括下請負の禁止に反する可能性があるため、原則としてあり得ません。


【実務上のポイント】
「元請から一式で任された」という言い方は現場でよく使われますが、建設業法上の一式工事とは意味が異なります。実態が複数の専門工事の請負であれば、必要なのはその専門工事の許可です。
契約書の名目ではなく、実際に何を施工するかで判断してください。

【一式工事で専門工事を自社施工するとき】
一式工事に含まれる専門工事を自ら施工する場合は、主任技術者・監理技術者とは別に、その業種の専門技術者を配置する必要があります(建設業法第26条の2)。専門技術者を置けない場合は、その業種の許可を持つ業者に下請けに出すことになります。
専門技術者を含む配置ルールは、主任技術者の配置が必要な工事とはの記事で解説しています。

一式工事の考え方    CONCEPT

一式工事に該当するかどうかは、次の2つの要素で考えると整理しやすくなります。


前提 元請の立場で総合的にマネジメントする建設業者が請け負うこと
いずれか

①大規模かつ複雑で、専門工事では施工が困難な建設工事
②複数の専門工事を組み合わせて施工する建設工事


前提を満たしたうえで、①か②のどちらかに当てはまれば一式工事と考えられます。


一式工事の考え方は、許可行政庁によって判断が分かれることがあります。愛知県と他県で扱いが違うケースもありますので、判断に迷う工事については事前に窓口へ確認するのが確実です。当事務所では窓口との事前調整も代行しています。


よくある誤解:専門工事も請け負えるのか    MISTAKE

ここが最も重要な論点です。


建築一式工事の許可を持っていても、500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできません。その専門工事の許可が別途必要です。


※土木一式工事の許可を持っていても、舗装工事だけを単独で請け負う場合は舗装工事の許可が必要です。請負代金が500万円未満(税込)であれば軽微な工事として許可なしで施工できますが、これは一式の許可があるからではなく、金額が基準を下回っているためです。


具体例で確認します

住宅の壁紙を貼る工事だけを単独で請け負ったとします。建築系の工事であることは間違いありません。


しかしこれは建築一式工事ではなく、内装仕上工事にあたります。請負代金が500万円以上であれば、内装仕上工事の許可が必要です。


建築一式工事の許可しか持たない業者が、500万円以上の内装仕上工事を単独で請け負った場合、無許可営業として3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)の対象となります。「建築系だから建築一式で足りる」という理解は通用しません。

なぜ誤解が生まれるのか

建築一式工事の軽微な工事の基準は1,500万円未満(または木造住宅で延べ面積150㎡未満)と、専門工事の500万円未満よりも高く設定されています。


この金額差から「建築一式は上位の許可」という印象を持たれやすいのですが、上下関係ではなく、性質の違う別の業種です。


例外:附帯工事は請け負えます    RELATED

ただし、まったく請け負えないわけではありません。建設業法には附帯工事の規定があります。


建設業法 第4条(附帯工事)

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

つまり、建築一式工事に附帯して発生する内装工事であれば、内装仕上工事の許可がなくても請け負えます。


附帯工事として認められる範囲

▶主たる工事に付随して必要になる工事であること
▶それ単独で独立した使用目的を持たないこと
▶主たる工事に比べて規模・金額が小さいこと


内装工事だけを単独で受注した場合は、当然ながら附帯工事にはあたりません。あくまで一式工事の一部として発生するものに限られます。


【実務上のポイント】
附帯工事であっても、その金額が500万円以上になる場合はその工事に関する専門技術者を配置して自ら施工するか、その業種の許可を持つ業者に下請負させる必要があります(建設業法第26条の2)。
「附帯だから何をしてもよい」わけではない点にご注意ください。


どの業種で許可を取るべきか    CHOICE

自社がどちらを取得すべきかは、受注の形で判断します。


受注の形 必要な許可
元請として建物を新築し、各専門工事を下請へ出す 建築一式工事
内装工事のみを単独で受注する 内装仕上工事
元請での新築も、内装単独の受注も両方ある 建築一式工事+内装仕上工事(2業種)


建設業許可は複数業種を同時に取得できます。すでに許可をお持ちであれば、業種追加という手続きで後から増やすことも可能です。


新規申請の段階で必要な業種をまとめて取得しておくと、後から業種追加をするより法定費用を抑えられます。業種追加には1回あたり50,000円の手数料がかかるためです。今後の受注の見通しをうかがったうえで、最適な組み合わせをご提案します。


まとめ    SUMMARY

▶一式工事は2業種、専門工事は27業種。まったく別の許可です
▶一式工事は「全体をマネジメントする役割」を指し、万能の許可ではありません
▶原則として元請の立場で請け負う場合の業種です
▶500万円以上の専門工事を単独で請け負うには、その業種の許可が必要です
▶附帯工事として請け負える例外はありますが、単独受注は認められません


「一式の許可があるから大丈夫」という思い込みは、無許可営業に直結します。請け負おうとしている工事がどの業種にあたるのか、迷ったら着工前にご確認ください。


どの業種の許可が必要かの判定も無料で承ります。見積書や図面をおっくていただければお答えします。


初回相談は無料です

「この工事はどの業種にあたるのか」という確認だけでも構いません。見積書や図面を送っていただければ、その場でお答えできることもあります。LINEなら夜間・土日も対応します。


\『建設業許可の相談』と送るだけ/


【コピペ用テンプレート】
建設業許可の相談です。
・業種:(例:建築一式、内装など)
・現在の状況:(例:どの業種で取るべきか判断したい など)