令和8年7月 経審改正のポイント|自主宣言制度の新設と社会保険項目の削除【愛知県】

令和8年7月 経審改正のポイント|自主宣言制度の新設と社会保険項目の削除【愛知県】

令和8年7月1日以降の経営事項審査から審査基準が改正されました。建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の新設(5点)、就業履歴蓄積措置の配点見直し、建設機械の追加、社会保険加入項目の削除の4点を、愛知県の運用とあわせて解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


令和8年2月6日に公布された国土交通省令・告示により、経営事項審査の審査基準が改正されました。適用は令和8年7月1日以降の申請からです。
注意していただきたいのは、審査基準日がいつであっても、令和8年7月1日以降に申請するものはすべて新基準が適用される点です。「うちの決算は改正前だから」ということにはなりません。


この記事では、4つの改正点と、申請にあたって必要な準備を整理します。



改正の概要    OVERVIEW

▶公布/令和8年2月6日(国土交通省令・告示)
▶施行/令和8年7月1日
▶適用/審査基準日にかかわらず、令和8年7月1日以降の申請から
▶対象/その他の審査項目(社会性等)、いわゆるW評点


改正されたのはW評点の部分です。X1(完成工事高)、X2(自己資本・利益)、Y(経営状況分析)、Z(技術力)の算定方法は変わっていません。P点の算式そのものにも変更はありません。


様式が変わっています

審査基準の改正に伴い、別紙三(その他の審査項目)と様式9(建設機械の保有状況)が変更されています。
令和8年7月1日以降に経営事項審査を受ける際は、必ず改正後の様式で作成してください。旧様式では受け付けられません。


改正①|自主宣言制度の新設(5点)    NEW

今回の改正の目玉です。「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が、新たに評価項目(W1-11)として追加されました。


建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無 点数
5
0


加点を受けるための条件は次のとおりです。


▶審査基準日が宣言日以降であること
▶宣言した取組について、取組開始日以降に行う又は行っている旨を誓約すること


必要な確認書類(2点とも提出)

  書類
自主宣言制度において宣言していることを証する書面(宣言書)の写し
※国土交通省の自主宣言制度ポータルサイトの各宣言企業の詳細ページから「宣言内容」をダウンロードして取得できます
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」に関する誓約書(様式13)


誓約書には、申請区分として次のいずれかを記入します。


▶A.取り組みを行う/審査基準日時点で取組開始日が到来していない場合
▶B.取り組みを行っている/審査基準日時点で取組開始日が到来している場合


【実務上のポイント】
誓約書に記入する宣言日は、別途持参する宣言書に記載されているものと一致させる必要があります。また、取組開始日も宣言書に記載されているものと同一にしてください。
新設されたばかりの項目のため、まだ宣言をしていない会社が多くあります。次期の経審に向けて、決算日より前に宣言を済ませておくことで加点を取ることができます。


宣言だけして実行しない場合

「A.取り組みを行う」で申請した場合、取組開始日の到来後に当該自主宣言の取り組みを行っていなければ、虚偽申請として建設業法に違反するおそれがあります
「B.取り組みを行っている」についても、実際に行っていないにもかかわらず誓約書を提出した場合は同様です。宣言内容を実行できるかを確認したうえで手続きしてください。


改正②|就業履歴蓄積措置の配点見直し    W1-10

建設キャリアアップシステム(CCUS)を使った就業履歴の蓄積に関する項目(W1-10)は、配点が引き下げられました


実施状況 改正前 改正後
民間工事を含む全ての建設工事で実施 15点 10点
全ての公共工事で実施 10点 5点
非該当 0点 0点


自主宣言制度(W1-11)の新設とあわせた見直しです。CCUSに関する取り組みの評価が、就業履歴の蓄積だけでなく、処遇改善の宣言にも配分された形になります。


CCUSと経審の関係は建設キャリアアップシステムと経審の記事で詳しく解説しています。



改正③|建設機械の加点対象が拡大    W7

建設機械の保有状況(W7)で、加点対象となる機械が追加されました。


法令根拠 追加された機種 検査方法
道路運送車両法 アスファルト・フィニッシャ
(自動車検査証の車体の形状欄に「アスファルト・フィニッシャ」と記載されている大型特殊自動車)
自動車検査
労働安全衛生法施行令 不整地運搬車
(労働安全衛生法施行令第13条第3項第33号に掲げる不整地運搬車)
特定自主検査


建設機械は1台の保有でも5点が入る項目です。


台数 点数 台数 点数
15台以上 15 7台 11
14台 15 6台 10
13台 14 5台 9
12台 14 4台 8
11台 13 3台 7
10台 13 2台 6
9台 12 1台 5
8台 12 0台 0


【実務上のポイント】
今回の追加により、これまで加点対象ではなかった機械が対象になっている可能性があります。舗装工事を扱う会社のアスファルト・フィニッシャ、運搬用の不整地運搬車を保有していないか、確認してみてください。
なお、加点には定期検査の実施を確認する資料が必要です。有効期間に審査基準日が含まれるものでなければ、評価対象になりません。様式9も改正後のものを使用してください。


改正④|社会保険加入の審査項目を削除    DELETE

雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に関する審査項目が削除されました


これまでは、未加入の場合に各項目でマイナス評価がされていましたが、項目自体がなくなっています。別紙三からも該当欄が削除されました。


社会保険に入らなくてよいという意味ではありません

経審の審査項目から外れただけであり、適切な社会保険への加入は建設業許可の要件そのものです。未加入のままでは許可の要件を満たしません。
また、技術職員の常勤性や6ヶ月超の雇用を確認する資料として、健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書等が引き続き必要です。社会保険の適正加入は経審の実務でも前提になります。

許可要件としての社会保険については、建設業許可の5つの要件の記事をご覧ください。


今期の経審に向けて確認すること    CHECK

▶申請書は改正後の別紙三・様式9を使っているか
▶自主宣言制度の宣言をしているか(審査基準日が宣言日以降である必要あり)
▶宣言している場合、宣言書の写しと誓約書(様式13)を用意したか
▶アスファルト・フィニッシャ、不整地運搬車を保有していないか
▶建設機械の定期検査の有効期間に審査基準日が含まれているか
▶古い解説記事や前年の資料をもとに点数を見積もっていないか


【実務上のポイント】
W評点の項目は審査基準日(決算日)時点で該当しているかで判定されます。自主宣言制度は、決算日を過ぎてから宣言してもその期には反映されません。
次期の決算日から逆算して、宣言や制度加入の手続きを決算前に済ませるという段取りが重要です。加点項目の全体像は経審の点数を上げる方法の記事にまとめています。


まとめ    SUMMARY

▶令和8年2月6日公布、令和8年7月1日施行
▶審査基準日にかかわらず、令和8年7月1日以降の申請から新基準が適用される
▶「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無」を新設(5点)
▶加点には宣言書の写しと誓約書(様式13)の両方が必要
▶就業履歴蓄積措置の配点を15点→10点、10点→5点に見直し
▶建設機械にアスファルト・フィニッシャ、不整地運搬車を追加
▶雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に関する審査項目を削除
▶別紙三と様式9が変更。改正後の様式で作成する
▶宣言した取組を実行しない場合は虚偽申請にあたるおそれがある


改正後の様式での申請書作成、自主宣言制度の手続きについてもご相談いただけます。


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