建設キャリアアップシステム(CCUS)と経審|技能レベルと就業履歴の加点を解説

建設キャリアアップシステム(CCUS)と経審|技能レベルと就業履歴の加点を解説

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、経営事項審査の複数の項目に関わります。技能者レベルの向上(W1-8)、就業履歴の蓄積措置(W1-10)、令和8年7月新設の自主宣言制度(W1-11)の評価方法と必要書類を解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「CCUSに登録しても意味があるのか」というご質問をいただきますが、経営事項審査においては複数の項目に影響します。
令和8年7月の改正で配点は見直されましたが、技能者レベル・就業履歴の蓄積・自主宣言制度という3つの項目でCCUSが関わる構造は変わっていません


この記事では、CCUSが経審のどこに、どのように効くのかを整理します。



CCUSが関わる3つの項目    3 ITEMS

項目 内容 点数
W1-8 技能者レベルの向上(知識及び技術又は技能の向上に関する取組) 最大10(CPDと合算)
W1-10 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況 10または5
W1-11 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無 5(令和8年7月新設)


このほか、CCUSのレベル3・レベル4認定者は、技術職員名簿でも評価されます(レベル4は3点、レベル3は2点)。


W1-8|技能者レベルの向上    W1-8

W1-8は、技術者のCPD単位取得と、技能者のレベル向上を合わせて評価する項目です。


W1-8=(技術者数÷(技術者数+技能者数))×CPD評価+(技能者数÷(技術者数+技能者数))×技能レベル向上評価


技能レベル向上の評価は、次の割合で判定します。


技能レベル向上者の割合

審査基準日以前3年間にレベルが1以上上がった者の数 ÷(技能者数-控除対象者数)× 100


※控除対象者数=審査基準日の3年前の日以前に、すでに最上位の区分(レベル4)だった者の数
※技能者数から控除対象者を除いた数値が0の場合、評価は0になります

割合 評価
15以上 10
13.5以上 15未満 9
12以上 13.5未満 8
10.5以上 12未満 7
9以上 10.5未満 6
7.5以上 9未満 5
6以上 7.5未満 4
4.5以上 6未満 3
3以上 4.5未満 2
1.5以上 3未満 1
1.5未満 0


【実務上のポイント】
技能レベルの評価を受けていない方は、レベル1として扱われます。したがって、これまで評価を受けていなかった方が新たにレベル2以上の認定を受ければ「技能レベル向上者」になります。
CCUSに登録しただけでは加点になりません。能力評価(レベル判定)を受けることが必要です。技能者数が少ない会社ほど、1人がレベルアップしたときの割合が大きくなります。


技能者の数え方

▶施工体制台帳の作業員名簿に記載される方のうち、施工管理のみに従事した者以外
▶施工体制台帳を作成しない工事でも、仮に作成した場合に作業員名簿に記載される方は技能者に該当する
▶実務経験年数や資格の有無は問わない。現場に出ていれば技能者
▶審査基準日以前3年のうちに建設工事の施工に従事した者が対象
▶技術職員名簿と同様、6ヶ月超の恒常的雇用と常時雇用の確認が必要


技能者名簿(様式11)に記載し、レベルが上がったことを証する書面の写しを提示します。技能者が0人になる場合でも様式11は添付し、「該当者なし」等と記載してください。



W1-10|就業履歴の蓄積措置    W1-10

実施状況 点数
国土交通大臣が定める建設工事以外の全ての建設工事で実施 10
国土交通大臣が定める公共工事以外の全ての公共工事で実施 5
いずれにも該当しない 0


令和8年7月1日以降の申請から、それぞれ15点→10点、10点→5点に引き下げられています。改正の全体像は令和8年7月の経審改正のポイントをご覧ください。


「必要な措置」とは

実施が求められる措置

▶CCUS上での現場・契約情報の作成及び登録
▶かつ、CCUS上に直接入力によらない方法で就業履歴を蓄積できる体制を整備すること


「直接入力によらない方法」とは、就業履歴データ登録標準API連携システムにより入退場履歴を記録できる措置を実施していること等をいいます。


対象外となる工事

次の工事は「国土交通大臣が定める建設工事」として、実施の対象から除かれます。


▶日本国内以外の工事
▶軽微な建設工事(1件の請負代金が500万円未満、建築一式は1,500万円未満または面積150㎡未満の木造住宅)
▶防災協定に基づく契約、又は既に締結されている請負契約において発注者の指示に基づき行う災害応急対策


【実務上のポイント】
対象外の工事であっても、措置を実施した場合は「措置実施工事」に件数を計上できます。誓約書(様式12)では、措置実施工事と措置未実施工事の件数を記入します。
件数欄に記入するのは元請工事のみです。海外での工事と下請工事は対象になりません。軽微な建設工事の考え方は軽微な建設工事とはの記事で解説しています。


必要な書類

▶CCUS上で登録していることが確認できるもの(CCUSで出力できる帳票「3-1 事業者情報」等)を持参
▶就業履歴を蓄積するために必要な措置を実施した旨の誓約書及び情報共有に関する同意書(様式12)を提出
▶様式12には建設キャリアアップシステム事業者IDを記入する


W1-11|自主宣言制度との関係    W1-11

令和8年7月1日に新設された「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無」(5点)は、技能者の処遇改善に取り組む企業を評価する項目です。


▶審査基準日が宣言日以降であること
▶宣言した取組について、取組開始日以降行う又は行っている旨を誓約すること
▶確認書類は宣言書の写しと誓約書(様式13)の両方


W1-10(就業履歴の蓄積)とW1-11(自主宣言)はそれぞれ独立した項目です。両方に該当すれば、両方の点数が入ります。


【実務上のポイント】
制度の詳細や宣言の手続きは、国土交通省の「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」ポータルサイトで確認できます。宣言内容は同サイトで公表され、宣言書は各宣言企業の詳細ページの「宣言内容」をダウンロードして取得します。
経審の加点を目的とする場合、審査基準日(決算日)より前に宣言を済ませておく必要があります。決算後に宣言してもその期には反映されません。


CCUS登録だけでは加点になりません    CHUI

登録と加点は別です

▶技能レベル(W1-8)/登録しただけでは0。能力評価を受け、レベルが上がる必要がある
▶就業履歴(W1-10)/登録だけでは0。現場・契約情報の登録と、直接入力によらない蓄積体制の整備が必要
▶自主宣言(W1-11)/CCUSとは別に、自主宣言制度への宣言手続きが必要


「CCUSに事業者登録した」という段階では、いずれの項目も加点になりません。

一方で、CCUSのレベル判定を受けた技能者は技術職員名簿でも評価されます(レベル4は3点、レベル3は2点)。技術職員名簿での扱いは技術職員名簿の書き方の記事をご覧ください。


W評点全体の加点項目は経審の点数を上げる方法の記事で整理しています。


まとめ    SUMMARY

▶CCUSは経審のW1-8・W1-10・W1-11の3項目に関わる
▶レベル判定を受けていない技能者はレベル1として扱われる
▶新たにレベル2以上の認定を受ければ「技能レベル向上者」になる
▶技能者は「現場に出ている方」。資格や経験年数は問わない
▶技能者が0人でも様式11(技能者名簿)は添付する
▶就業履歴の蓄積措置は、現場・契約情報の登録+直接入力によらない蓄積体制の整備が必要
▶令和8年7月改正でW1-10は10点・5点に引き下げ
▶軽微な建設工事・海外工事・災害応急対策は対象外だが、実施すれば件数に計上できる
▶自主宣言制度(W1-11)は独立した5点の項目。決算日より前の宣言が必要
▶CCUSレベル3・4の技能者は技術職員名簿でも評価される


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