建設業許可の要件は5つ|愛知県で許可を取るために満たすべき条件を行政書士が解説

建設業許可の要件は5つ|愛知県で許可を取るために満たすべき条件を行政書士が解説

建設業許可の要件は経営体制・営業所技術者等・誠実性・財産的基礎・欠格要件の5つ。建設業法と愛知県の最新手引をもとに、何を満たす必要があるかを行政書士が整理しました。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「うちは建設業許可を取れるのか」——この問いの答えは、建設業法が定める要件を満たしているかどうかで決まります。
建設業許可の要件は、大きく分けると「経営体制」「技術者」「誠実性」「財産的基礎」「欠格要件に該当しないこと」の5つです。ひとつでも欠けると許可は受けられません。


この記事では、5つの要件それぞれについて、何が求められ、誰について判断されるのかを整理します。個別の要件をさらに詳しく知りたい方向けに、各項目から詳細記事へのご案内も入れています。愛知県知事許可を前提に説明しますが、要件そのものは全国共通の建設業法のルールです。


【この記事の位置づけ】
この記事は建設業許可の5つの要件に絞って解説しています。許可制度そのものの全体像(許可が必要になる工事、29業種、知事許可と大臣許可、費用と期間、取得後の手続き)は建設業許可とは|必要なケース・要件・費用・期間にまとめています。



建設業許可の要件は5つ    OVERVIEW

建設業許可の基準は建設業法第7条(一般建設業)と第15条(特定建設業)に、許可を受けられない場合が第8条に定められています。実務ではこれらをまとめて「5つの要件」と呼びます。


要件 根拠 誰について判断するか
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力があること(適正な経営体制+社会保険の加入) 法第7条第1号 常勤役員等(+補佐する者)/事業所単位
営業所ごとに専任の営業所技術者等がいること

法第7条第2号
特定は法第15条第2号

営業所ごとの技術者
請負契約に関して誠実性があること 法第7条第3号 法人・役員等・支配人・支店長・営業所長など
請負契約を履行するに足りる財産的基礎・金銭的信用があること

法第7条第4号
特定は法第15条第3号

申請者(会社・個人事業主)
欠格要件に該当しないこと 法第8条 申請者・役員等・令3条使用人など


【実務上のポイント】
①②は「人」の要件、④は「お金」の要件、③⑤は「過去に問題がないか」の要件と整理すると理解しやすくなります。相談を受けていて実際につまずきやすいのは①と②で、社内に該当者がいるかどうかを先に確認しておくと、その後の準備がスムーズです。


その前に:そもそも許可が必要か、どの許可か    PREMISE

要件の確認に入る前に、自社がどの許可を申請するのかを決める必要があります。ここを間違えると、そもそも満たすべき要件が変わってしまいます。


▶軽微な建設工事だけを請け負うなら許可は不要
▶営業所が愛知県内だけなら知事許可、2つ以上の都道府県にあるなら大臣許可
▶元請で一定額以上を下請に出すなら特定建設業許可、それ以外は一般建設業許可


軽微な建設工事とは、建築一式工事であれば1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または請負代金にかかわらず木造住宅で延べ面積150㎡未満の工事、建築一式工事以外であれば1件の請負代金が500万円未満の工事をいいます(いずれも消費税及び地方消費税を含む額で判断します)。


金額の数え方に注意

同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて分割した場合を除き、各契約の請負代金の合計額で判断します。また、注文者が材料を提供する場合は、その市場価格(および運送費)を請負代金に加えた額で判断します。「1件500万円未満に分けたから許可は要らない」という考え方は通用しないことがあります。

なお、軽微な工事であっても、解体工事業者登録・浄化槽工事業者登録・登録電気工事業者など、別に登録が必要な工事があります。詳しくは電気工事・解体工事など業種別に必要な許認可をまとめた記事をご覧ください。


許可区分の考え方は、知事許可と大臣許可の違いを解説した記事一般建設業と特定建設業の違いを解説した記事でそれぞれ詳しく説明しています。


出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」/国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第3条関係】



要件① 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力    KEIKAN

1つ目は、建設業の経営を適正に行える体制があることです。これは「適正な経営体制」と「社会保険への加入」の2つを両方満たす必要があります。


(1)適正な経営体制

建設業法施行規則第7条第1号により、次のいずれかに該当することが求められます。


区分 内容
常勤役員等のうち1人が、①建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験、②建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)での経験、③建設業に関し6年以上の経営業務の管理責任者を補佐する業務の経験、のいずれかを有すること
一定の役員経験を有する常勤役員等を置き、かつ、その常勤役員等を直接に補佐する者として、財務管理・労務管理・業務運営の経験を有する者をそれぞれ置くこと
国土交通大臣がイまたはロと同等以上の経営体制を有すると認定したもの


実務でほとんどのケースが使うのはイの①(5年以上の経管経験)です。「常勤役員等」とは、法人の場合はその役員のうち常勤であるもの、個人の場合はその者またはその支配人をいいます。


経管の要件は解説すべき論点が多いため、別記事にまとめています。経営業務の管理責任者(経管)の要件と、組織で満たす方法経管には誰がなれるのか(常勤役員等・令3条使用人)経管の経験をどう証明するか(愛知県の「年1件」「12か月ルール」)を順に読むと全体像がつかめます。


(2)社会保険の加入

適用事業所に該当するすべての営業所について、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の届出を行っていることが必要です。加入義務があるのに未加入の場合、この要件を満たしません。


【実務上のポイント】
法人であれば社長1人の会社でも健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。個人事業で常時5人未満の場合など、加入義務の有無は事業形態によって変わりますので、申請前に自社が適用事業所に当たるかを確認しておくことをおすすめします。判定基準は社会保険に入っていない一人親方でも許可は取れるのかを解説した記事で整理しています。


要件② 営業所ごとの営業所技術者等    GIJUTSUSHA

2つ目は、すべての営業所に、許可を受けようとする業種の専任の技術者を置くことです。令和6年12月の改正建設業法の施行により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者等」という名称に変わりました。


許可区分 要件(いずれかに該当)

一般建設業
(法第7条第2号)

イ 指定学科を卒業後、大学等は3年以上・高校等は5年以上の実務経験
ロ 10年以上の実務経験
ハ 国土交通大臣がイ・ロと同等以上と認定した者(2級建築士、2級土木施工管理技士等)

特定建設業
(法第15条第2号)

イ 国土交通大臣が定める試験に合格した者・免許を受けた者(1級建築士、1級土木施工管理技士等)
ロ 法第7条第2号のいずれかに該当し、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験がある者
ハ 国土交通大臣がイ・ロと同等以上と認定した者


指定建設業は資格が必須

特定建設業のうち指定建設業(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種)については、実務経験ルート(ロ)は使えません。1級の国家資格等を持つ者、または国土交通大臣の認定を受けた者に限られます。

「専任」とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することをいいます。他の営業所で専任を要する者や、他の法令で専任を要する者(建築士事務所の管理建築士、専任の宅地建物取引士など)は、原則として専任と認められません。


技術者要件については、営業所技術者等の役割・資格要件・「専任」の意味を解説した記事を起点に、技士補(技術検定合格)で実務経験が3年・5年に短縮されるケース設計の経験が実務経験として認められるかどうかもあわせてご覧ください。経管と兼務できるかは経管と営業所技術者等の兼務を解説した記事で扱っています。


要件③ 誠実性    SEIJITSUSEI

3つ目は、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことです(法第7条第3号)。


▶「不正な行為」/請負契約の締結・履行の際の詐欺、脅迫、横領、文書偽造等の法律違反行為
▶「不誠実な行為」/工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為


判断の対象は申請者本人だけではありません。法人であれば法人自身と非常勤を含む役員等、支配人、支店長・営業所長(令3条使用人)まで含まれます。建築士法や宅地建物取引業法などの規定により、不正・不誠実な行為を行ったことで免許等の取消処分を受け、その最終処分の日から5年を経過していない場合は、原則としてこの要件を満たさないものとして取り扱われます。


詳しくは建設業許可の誠実性とは何かを解説した記事で説明しています。


要件④ 財産的基礎・金銭的信用    ZAISAN

4つ目は、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用です。一般建設業と特定建設業でハードルが大きく異なります。


許可区分 基準
一般建設業

次のいずれかに該当すること
イ 申請日の直前の決算において自己資本が500万円以上
ロ 500万円以上の資金を調達する能力があると認められること
ハ 許可申請直前の5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること

特定建設業

申請日の直前の決算において次をすべて満たすこと
イ 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
ロ 流動比率が75%以上であること
ハ 資本金が2,000万円以上、かつ自己資本が4,000万円以上であること


一般建設業のロ(資金調達能力)について、愛知県では金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書(基準日が申請直前4週間以内)または500万円以上の融資証明書(発行日が申請直前4週間以内)で確認します。残高証明書と融資証明書の合算は認められず、残高証明書が2枚以上になる場合は基準日を揃える必要があります。


【実務上のポイント】
残高証明書には有効期間があります。申請直前4週間以内という条件があるため、書類一式が揃う見込みが立ってから取得しないと、証明書だけ期限切れになって取り直しになります。取得のタイミングは申請スケジュールと合わせて決めましょう。証明の具体的な進め方は500万円の財産的基礎をどう証明するかを解説した記事にまとめています。


特定建設業の財産要件は決算のたびに問われます。決算内容が悪化した場合の取扱いは決算が悪いと特定建設業許可はどうなるかを解説した記事をご覧ください。
財産的基礎要件ついての基本的な考えはこちらの記事で詳しく解説しています

要件⑤ 欠格要件に該当しないこと    KEKKAKU

5つ目は、建設業法第8条の欠格要件に該当しないことです。①〜④が「満たすべき条件」であるのに対し、⑤は「該当したら許可されない条件」という逆向きの要件です。


▶破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
▶一定の事由で建設業許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
▶禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
▶建設業法や一定の法令の規定により罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
▶暴力団員等、暴力団員等がその事業活動を支配する者 など


判断の対象は、申請者本人のほか法人の役員等、令3条使用人(支配人・支店長等)にも及びます。役員のうち1人でも該当者がいれば、会社として許可を受けられません。


虚偽の記載・記載漏れも許可されません

許可申請書やその添付書類に重要な事項について虚偽の記載があるとき、または重要な事実の記載が欠けているときも、許可は受けられません(法第8条)。調書の「賞罰」欄に記載がないのに行政処分等の事実が確認され、それが法第8条に該当する場合には、原則として「虚偽申請」として取り扱われます。

14項目の全体像と5年の数え方は、建設業許可の欠格要件を14項目で解説した記事で詳しく整理しています。


出典:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第7条関係】【第8条関係】/愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」Ⅱ・Ⅲ



要件は「取ったら終わり」ではありません    KEEP

見落とされやすいのですが、許可要件は取得後も満たし続ける必要があります


▶経管や営業所技術者等が退職して後任がいなくなれば、要件の欠如として許可の取消しの対象になる(法第29条第1項第1号)
▶役員や営業所技術者等が変わったときは変更届が必要
▶役員等が欠格要件に該当することになった場合も許可の取消しにつながる


【実務上のポイント】
経管や営業所技術者等が1人しかいない会社では、その方の退職・入院・死亡が直ちに許可の存続にかかわります。要件を満たす人が社内に2人以上いるかを一度確認し、いない場合は資格取得や実務経験の積み上げを計画的に進めておくことをおすすめします。届出の期限は変更届の2週間・30日・4か月の期限を解説した記事でご確認ください。


なお、財産的基礎の要件(法第7条第4号・第15条第3号)は許可の際に判断されるものであり、許可後にこの基準に適合しなくなっても、直ちに許可の効力に影響を及ぼすものではないとされています。ただし特定建設業については、更新時に改めて基準を満たしているかが問われます。


申請前のセルフチェック    CHECK

実際に申請の準備を始める前に、次の項目を確認してみてください。ひとつでも「わからない」がある場合は、書類を集め始める前に確認したほうが結果的に早く進みます。


申請前に確認すること

 建設業の経営経験が5年以上ある常勤役員(または個人事業主本人)がいるか
 その経験を裏づける資料(登記事項証明書、確定申告書、請負契約書等)が手元にあるか
 取りたい業種について、資格または実務経験で要件を満たす技術者が営業所にいるか
 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の届出が済んでいるか
 自己資本500万円以上、または500万円以上の残高証明が用意できるか
 役員全員・支店長等について、欠格要件に該当する事情がないか
 請負契約の見積りや契約締結を行っている拠点をすべて営業所として届け出るか

要件を満たす見込みが立ったら、次は書類の準備です。愛知県版の必要書類一覧申請から取得までの流れを8ステップで解説した記事、費用については手数料・実費・行政書士報酬の総額を解説した記事が参考になります。愛知県知事許可の新規申請そのものの手順は新規申請の要件・手数料・必要書類を解説した記事にまとめています。


まとめ    SUMMARY

▶建設業許可の要件は「経営体制」「営業所技術者等」「誠実性」「財産的基礎」「欠格要件に該当しないこと」の5つ
▶経営体制は、適正な経営体制と社会保険の加入の両方を満たす必要がある
▶営業所技術者等は営業所ごとに専任で置く必要があり、指定建設業の特定許可は資格必須
▶誠実性・欠格要件は、役員や支店長など会社の関係者全員について判断される
▶財産的基礎は一般で自己資本500万円以上等、特定は資本金2,000万円・自己資本4,000万円等の4基準
▶申請書に重要な虚偽記載・記載漏れがあると、それだけで許可されない
▶要件は取得後も維持が必要で、欠けると許可の取消しにつながる


要件に当てはまるかどうかは、経歴や決算の内容、役員の状況によって判断が変わります。「うちの場合はどうか」は個別に確認が必要ですので、迷ったら書類を集め始める前にご相談ください。


要件を満たしているかどうかの確認から、書類の収集・作成、愛知県への申請まで一括してお引き受けします。


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