

行政書士久遠事務所 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県内の建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
「工事代金は450万円だから、軽微な建設工事の範囲内で許可はいらない」——契約書の金額だけを見てそう判断してしまうと、実際には許可が必要な工事だったというケースがあります。
元請から資材の提供を受けている場合、その資材の価格も請負代金に含めて判断するためです。愛知県で建設業許可を検討されている事業者の方に向けて、請負金額に何が含まれるのかを整理します。
支給された材料の価格は請負代金に加えます
工事代金450万円+支給材100万円=550万円として判断
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注文者から材料の支給を受けた場合の500万円の数え方は、建設業許可がいらない「軽微な建設工事」の判定方法にまとめています。支給された材料の市場価格と運送賃を請負代金に加えて判定します。
根拠は建設業法施行令に置かれています。
注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。
条文が定めているのは、注文者から材料を提供された場合、その価格を請負代金に加算するというルールです。契約書に記載された金額がそのまま判断基準になるわけではありません。
冒頭の例で言えば、工事代金450万円に対して元請から100万円相当の資材が支給されるなら、判断の基準になる金額は550万円です。
軽微な建設工事(500万円未満)の範囲を超えるため、建設業許可が必要になります。
加算するのは、元請が実際に仕入れた金額ではなく市場価格です。元請が大量発注で安く仕入れていたとしても、その仕入値ではなく、一般的な取引価格で評価します。
材料を現場まで運ぶ費用がかかっている場合は、その運送賃も請負代金に含めます。材料そのものの価格だけを見て「ぎりぎり500万円未満に収まる」と考えていると、運送費を加えた時点で基準を超えることがあります。
ご相談の場面では、契約書だけでなく支給材の明細や納品書もあわせて拝見します。書面上は450万円でも、支給材の内容を確認すると基準を超えているという例は実際にあります。判断に迷う段階でお持ちいただければ、その場で整理できます。
判断が分かれやすいのが、機械器具設置工事における機械本体の扱いです。
たとえば、発注者が自らエレベーターを購入して用意し、建物への据付工事だけを業者に発注するケースを考えてみます。このとき、エレベーター本体の代金は請負代金に含めるのでしょうか。
答えは含めるです。機械器具設置工事は、機械を設置することが工事の内容そのものであり、機械がなければ工事が成立しません。木造住宅の建築工事における木材と同じ位置づけで、機械は「材料」として扱うことになります。
したがって、据付工事の代金が少額であっても、機械本体の価格を加えて500万円以上になるなら、機械器具設置工事の許可が必要です。
一方で、加算しないケースもあります。
土工事を請け負った下請業者が、元請から油圧ショベルを貸与された場合はどうか。この場合、油圧ショベルの価格を請負代金に加える必要はありません。純粋に土工事の請負代金だけで、軽微な建設工事にあたるかどうかを判断します。
両者の違いはここにあります。
▶加算する/工事の目的物の一部になるもの(材料)。木材、配管、設置されるエレベーターなど
▶加算しない/施工のために一時的に使う道具・機械。油圧ショベル、足場、仮設材など
エレベーターは工事が完了すれば建物の一部として残ります。油圧ショベルは工事が終われば元請に返却され、目的物には残りません。完成物に組み込まれるかどうかが判断の軸になります。
【実務上のポイント】
実務では「元請が資材も重機も出してくれている」という状態が珍しくありません。このとき、資材は加算・重機は加算しない、という切り分けが必要になります。ひとまとめに「元請の負担だから関係ない」と考えると判断を誤ります。
金額の判断でつまずきやすい論点を整理しておきます。
▶税込で判断する/消費税および地方消費税を含めた金額で見ます。税抜480万円は税込528万円となり基準を超えます
▶500万円ちょうどは許可が必要/条文は「500万円未満」。ちょうど500万円は「未満」にあたりません
▶分割契約は合算/正当な理由なく工事を分割した場合、各契約の代金を合計して判断します
▶公共・民間の別は無関係/発注者が官公庁でも民間企業でも基準は同じです
無許可で軽微な建設工事を超える工事を請け負った場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(またはその両方)の対象となります。さらに罰金刑を受けると5年間は建設業許可を受けられなくなります。
なお、特定建設業許可が必要かどうかを判断する場面では、提供資材の扱いが逆になります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
請負金額が軽微な建設工事にあたるかどうかは、契約書に書かれた金額だけでは判断できません。注文者から提供された材料は、その市場価格と運送費を加えて判断します。機械器具設置工事の機械本体は材料として加算し、施工のために貸与された重機は加算しません。
「工事代金だけ見れば500万円未満」という状態は、実務では最も危ない判断です。契約前に一度確認しておくことをおすすめします。
「この契約は許可が必要か」という確認だけでも構いません。見積書・契約書・支給材の明細をお持ちいただければ判断します。愛知県内全域に対応しています。