

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
建設業許可でつまずく理由として多いのが、営業所技術者等の「実務経験10年」です。10年分の契約書や注文書を空白なくそろえるのは、実際にはかなりの負担になります。
ところが令和5年7月の改正により、施工管理技術検定に合格していれば、必要な実務経験が3年または5年に短縮されるようになりました。
第二次検定に合格して「技士」になっていなくても、第一次検定に合格して「技士補」であれば対象です。この記事では、制度の中身と使えない業種を整理します。
まず前提となる「技士補」から確認します。
令和3年3月31日までは、技術検定の学科試験と実地試験の両方に合格した人にだけ「技士」の称号が与えられていました。これが令和3年4月1日の改正建設業法施行により変わりました。
▶学科試験 → 第一次検定に変更。合格者には新設の「技士補」の資格
▶実地試験 → 第二次検定に変更。第一次・第二次の合格者には「技士」の資格
| 級 | 第一次検定 | → 称号 | 第二次検定 → 称号 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 合格 | 1級技士補 | 合格 → 1級技士 |
| 2級 | 合格 | 2級技士補 | 合格 → 2級技士 |
技士補の資格が与えられるのは、令和3年度以降に実施された技術検定を受験し、第一次検定に合格した方だけです。
令和2年度以前に学科試験に合格した方には、技士補の資格は付与されません。「昔、学科は受かっている」というケースでは使えませんので、合格年度を必ず確認してください。
令和5年6月30日までは、国家資格者等でない場合、営業所技術者になるには大学・高校の指定学科を卒業しているか、10年の実務経験があるかのどちらかしかありませんでした。
これが改正により、技術検定の合格者を指定学科の卒業者と同等とみなす扱いに変わりました。
▶1級の第一次検定合格者 → 大学の指定学科卒業者と同等とみなす
▶2級の第一次検定合格者 → 高校の指定学科卒業者と同等とみなす
(参照:国土交通省「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等の公布)
指定学科とは、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第1条に掲げる学科をいい、建築学や土木工学に関する学科などが該当します。
どの検定でもよいわけではありません。合格した検定種目に対応する指定学科として扱われます。
| 技術検定種目 | 同等とみなす指定学科 |
|---|---|
| 土木施工管理技士・造園施工管理技士 | 土木工学 |
| 建築施工管理技士 | 建築学 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気工学 |
| 管工事施工管理技士 | 機械工学 |
建設機械施工管理技士と電気通信工事施工管理技士は対象外です。
| 区分 | 実務経験年数 |
|---|---|
| 大学・短大等の指定学科 | 卒業後3年 |
| 高等学校の指定学科 | 卒業後5年 |
| 1級技術検定(第一次検定/第二次検定)合格 | 合格後3年 |
| 2級技術検定(第一次検定/第二次検定)合格 | 合格後5年 |
| 上記以外 | 10年 |
【実務上のポイント】
実務経験の起算点は合格後です。合格発表日より前の経験は、この制度では算入できません。
「検定に合格したので、過去の経験と合わせて3年分ある」という数え方はできません。申請書作成で最も間違いの多い箇所です。
この制度は、すべての業種で使えるわけではありません。
指定建設業7業種(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)と電気通信工事業は対象外です。
これらの業種で営業所技術者等になるには、従来どおり第二次検定まで合格して「技士」になる必要があります。
逆にいえば、それ以外の業種では技士補の段階で道が開けるということです。内装仕上、防水、塗装、機械器具設置といった業種を扱う会社にとっては大きな変更です。
なお、この扱いは一般建設業許可の営業所技術者だけでなく、特定建設業許可の特定営業所技術者、工事現場の主任技術者・監理技術者についても同様とされています(いずれも指定建設業を除く)。
(参照:国土交通省「実務経験による技術者資格要件の見直し」)
影響が最も大きい業種のひとつが機械器具設置工事業です。実務経験で営業所技術者等になっているケースが多かった業種だからです。
| 改正前 | 改正後(追加された選択肢) |
|---|---|
|
・大学の建築学・機械工学・電気工学に関する学科の卒業+3年以上の実務経験 |
左記に加えて |
改正前は指定学科を卒業していなければ、必ず10年の実務経験が必要でした。改正後は指定学科を出ていなくても、対応する検定に合格していれば3年または5年で足ります。
機械器具設置工事業は対応する国家資格が乏しく、営業所技術者等の確保が難しい業種として知られていました。建築・電気工事・管工事の施工管理技士は保有者数が多いため、この改正で候補者が一気に広がったことになります。
▶令和5年7月1日から、技術検定合格者は指定学科卒業者と同等に扱われる
▶1級第一次検定合格=大学指定学科卒と同等(合格後3年)、2級=高校指定学科卒と同等(合格後5年)
▶第二次検定に合格していない「技士補」でも対象になる
▶技士補は令和3年度以降の第一次検定合格者に限られる
▶指定建設業7業種と電気通信工事業では使えない
▶実務経験の起算は合格後。合格前の経験は算入できない
営業所技術者等の要件全体については、別記事で解説しています。資格・学歴・実務経験のどのルートで攻めるかを決めてから、必要書類の収集に入るのが効率的です。
技士補で要件を満たせるかどうかの判定から対応します。 -
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