

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
長年職人として腕を磨き、独立して会社を設立した——しかし経営者としての経験がないため、経営業務の管理責任者(経管)になれない。このご相談は非常に多くいただきます。
この場合、建設業の経営経験を持つ方を常勤役員として迎え入れれば、設立1年目でも建設業許可を取得できます。
経管の経験は他社で積んだものでも構わないためです。この記事では、どこで探し、どのような条件で迎え、何に注意すべきかを実務の視点で解説します。
経管の要件そのもの(必要な年数や経験の種類)については、経営業務の管理責任者の要件を解説した記事で詳しく整理しています。まず自社で満たせるかどうかを確認したい方は、そちらをご覧ください。
求人サイトで募集して見つかる人材ではありません。すでに面識のある方に声をかけるケースがほとんどです。
▶前職の上司・経営者/独立を応援してくれた元勤務先の役員に依頼する
▶取引先の社長/引退を考えている、あるいは事業承継を終えた方
▶廃業した同業者/会社を畳んだが本人はまだ働きたいという方
▶親族/父が営んでいた個人事業を法人化する際に、父に役員として残ってもらう
【実務上のポイント】
「引退を考えている先輩経営者」のパターンは少なくないです。会社は子どもに譲ったが自分はまだ動ける、という方は建設業界に少なくありません。
こうした方にとっても、経営の第一線から退きつつ後進を支える立場は無理のない働き方です。お互いの利害が一致しやすいため、真っ先に検討すべき選択肢といえます。
声をかける際、あらかじめ整理しておくべき条件が4つあります。
経管になれるのは、法人であれば常勤の役員です。顧問やアドバイザーといった立場では要件を満たしません。取締役として登記する必要があります。
経管は営業所に常勤していることが前提です。したがって他社の常勤役員を務めている方、他社で経管や営業所技術者等になっている方は、原則として就任できません。
「今の会社に籍を置いたまま名前だけ」という形は認められないとお考えください。
役員報酬が無報酬、あるいは極端に低額だと、常勤性を疑われる要因になります。実際の勤務実態に見合った額を設定してください。
申請時点で、その方がすでに常勤役員として就任している必要があります。登記の完了にも時間がかかりますので、逆算してスケジュールを組むことが重要です。
当事務所では、役員就任の登記が必要な場合、提携する司法書士と連携して進めています。
登記から許可申請までを一括してお任せいただけますので、どこに何を頼めばよいか分からないという段階でご相談ください。
外部から迎える場合、審査で最も見られるのが本当にその会社に常勤しているのかという点です。
▶社会保険の加入記録/申請する会社で健康保険・厚生年金の被保険者になっていること
▶住所と営業所の距離/通勤が可能な範囲にあるか(住民票で確認されます)
▶賃金台帳・出勤簿/役員報酬の支払いと勤務の実態
▶登記事項証明書/取締役として就任していること
このうち社会保険が最も重要です。前職の会社で被保険者のままになっていると、そちらで常勤していると判断されます。就任にあわせて資格の切り替えを行ってください。
【実務上のポイント】
常勤性の確認資料は、健康保険証の新規発行が廃止されたことにともなって取扱いが変更されています。何を提出するかは時期によって変わりますので、申請前に最新の運用をご確認ください。
また、住所が営業所から遠い場合は追加の説明を求められることがあります。県外にお住まいの方を迎える場合は、事前に窓口へ相談しておくのが安全です。当事務所では事前相談も代行しています。
ここが最も重要なパートです。外部から迎える方法は適法ですが、実態を伴わなければ名義貸しになります。
| 状態 | 適法な招へい | 名義貸し |
|---|---|---|
| 出社と業務への関与 | 日常的に勤務している | ほとんど出社しない |
| 役員報酬 | 実態に見合う額を支給 | 無報酬または名目的な額 |
| 他社での立場 | 他社では常勤していない | 他社の常勤役員のまま |
| 経営への関与 | 契約や資金繰りの判断に関与 | 名前を貸しているだけ |
実体のない経管を届け出て許可を受けた場合、虚偽または不正の事実に基づいて許可を受けたものとして扱われます。
・許可申請書への虚偽記載/6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(建設業法第50条)
・虚偽・不正による許可取得/3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(同法第47条)。法人には1億円以下の罰金
・許可の取消し。取消し後は5年間、建設業許可を受けられません
名義貸しは、貸した側にも責任が及びます。頼まれた方も、安易に引き受けるべきではありません。
【実務上のポイント】
「月に一度顔を出してもらう程度でいいか」というご相談をいただくことがありますが、それは常勤とはいえません。当事務所では、実態が伴わない申請のお手伝いはお受けしていません。
一方で、実際に関与していただける方がいるなら、それは正当な方法です。遠慮する必要はありません。要件を満たす形をどう組み立てるかは一緒に考えますので、まずは状況をお聞かせください。
外部から迎える方法には、構造的な弱点があります。その方が退任すれば、経管が不在になるということです。
経管に変更があった場合、2週間以内に届出が必要です。後任がいなければ許可の要件を欠くことになり、最終的には廃業届を出さざるを得なくなります。
最も現実的な備えは、迎えた方が在任している間に、社長自身が役員として経験を積むことです。
建設業許可を受けた会社の常勤役員として5年が経過すれば、社長本人が経管の要件を満たします。そこで交代すれば、外部の方に頼らない体制へ移行できます。
▶就任時に在任期間の見通しを共有しておく
▶社長自身も役員として登記し、経験年数を積み上げる
▶5年経過後に経管を交代する段取りを最初から想定しておく
▶交代の際は届出が必要。期限は2週間以内です
当事務所にご依頼いただいた方には、経管の交代が可能になる時期もあわせてお伝えしています。許可を取って終わりではなく、5年後の体制まで見据えてご提案します。
▶経営経験を持つ方を常勤役員に迎えれば、設立1年目でも許可を取得できます
▶探す先は前職の上司、引退を考える取引先の社長、廃業した同業者、親族など
▶常勤役員として登記し、他社との兼任は避け、実態に見合う報酬を設定します
▶社会保険の切り替えが常勤性の裏付けになります
▶実態が伴わなければ名義貸し。許可取消しと5年間の欠格につながります
▶退任リスクに備え、社長自身が経験を積む道筋も同時に描いてください
外部から迎える方法は、正しく行えば独立直後の事業者にとって現実的な選択肢です。誰に声をかけるべきか、どう条件を整えるかも含めてご相談いただけます。
▶建設業法(e-Gov法令検索)/第11条・第47条・第50条
▶建設業法施行規則(e-Gov法令検索)/第7条第1号
▶建設業許可申請手引・様式ダウンロード(愛知県)/常勤性の確認資料など
法令や運用は改正されます。この記事は執筆時点の内容ですが、実際の申請の際は必ず上記の一次資料でご確認ください。
経管をどう確保するかも含めてご相談いただけます。初回相談は無料です。
「この人に頼めば要件を満たせるか」という確認だけでも構いません。その方の経歴をうかがえば、その場で判断できることもあります。LINEなら夜間・土日も対応します。
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・業種:(例:内装、電気など)
・現在の状況:(例:経管になれる人を探している など)