

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
経審の有効期間で最も多い誤解が、「結果通知書を受け取った日から1年7ヶ月」という数え方です。
正しくは、審査基準日(事業年度終了の日=決算日)から1年7ヶ月です。通知書がいつ届いたかは関係ありません。申請が遅れれば、その分だけ実際に使える期間が短くなります。
この記事では、有効期間の正しい数え方と、公共工事を受注できない「空白期間」が生まれる仕組み、それを避けるためのスケジュールを解説します。
公共工事の受注(発注者と契約を締結すること)には、契約締結日の1年7ヶ月前以降の決算日を審査基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書が交付されていることが必要です。
経営事項審査の結果通知書は、交付後、当該審査の審査基準日から起算して1年7ヶ月後の日までの間、公共工事の受注について有効です。
▶起点/審査基準日(事業年度終了の日)
▶終点/審査基準日から1年7ヶ月後の日
▶結果通知書の通知日は起点ではありません
たとえば決算日が3月31日の会社であれば、その決算を審査基準日とする経審の結果通知書は、翌年10月31日まで公共工事の受注に使えます。通知書が7月に届こうと9月に届こうと、期限は変わりません。
出典:愛知県「経営事項審査申請等の手引」(令和8年7月)P4。愛知県都市総務課建設業・不動産業室
この1年7ヶ月というルールは、公共工事発注者の入札参加資格の有無とは関係なく、公共工事の受注そのものに対して義務付けられるものです。
【実務上のポイント】
入札参加資格者名簿に載っていることと、経審の結果通知書が有効であることは別の話です。名簿に登載されていても、契約締結日の時点で有効な結果通知書がなければ受注できません。
入札から契約までに時間が空く案件では、契約締結日の時点で有効かどうかを確認してください。両者の関係は経審と入札参加資格の違いの記事で整理しています。
決算は毎年来ます。したがって審査基準日も毎年更新され、有効期間も毎年更新していく必要があります。
▶決算日(審査基準日)から1年7ヶ月が有効期間
▶次の決算日を審査基準日とする経審の結果通知書が交付されれば、有効期間が更新される
▶申請が遅れると、前の期の有効期間が切れてから次の通知書が届くまでの間に「空白」が生じる
有効な結果通知書が交付されていない間は、公共工事を受注することができません。入札に参加していても、その期間に契約を締結することはできません。
1年7ヶ月という期間は、決算から次の決算までの12ヶ月に対して7ヶ月の余裕があるように見えますが、申請から結果通知までに約2か月かかることを考えると、余裕は決して大きくありません。
「申請が遅れたので、前の期の決算を基準に受け直そう」ということはできません。
審査基準日は申請をする日の直前の事業年度終了の日と決まっているためです。申請の時点ですでに新しい決算日を迎えていれば、審査基準日は自動的に新しい決算日になります。
【実務上のポイント】
たとえば決算日が11月30日の会社が、令和8年4月に申請する場合、審査基準日は直前の令和7年11月30日です。ここで申請せずに12月を過ぎてしまうと、審査基準日は令和8年11月30日になり、令和7年11月30日を基準に受けることはできなくなります。
1年分の空白は後から埋められません。決算後は速やかに動き始めてください。
愛知県の運用を前提にすると、次の流れになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 決算日 | 審査基準日。ここから1年7ヶ月のカウントが始まる |
| 決算日後2か月ごろ | 決算の確定、経営状況分析の申請 |
| 決算日後4か月以内 | 事業年度終了届の提出+経審の予約申し出 |
| 予約申し出の翌月 | 経営規模等評価の申請・審査 |
| 予約申し出の翌々月末 | 結果通知書の発送 |
事業年度終了届の提出期限(決算日から4か月以内)を守って提出し、そのタイミングで予約を申し出れば、決算日からおおむね半年以内に新しい結果通知書が届く計算になります。この形を毎年繰り返せば、空白期間は生じません。
逆に、事業年度終了届の提出が数か月遅れると、その分だけ結果通知も遅れ、有効期間の更新も後ろにずれていきます。詳しい手順は経営事項審査の流れの記事をご覧ください。
経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書は再発行されません。紛失した場合の対応にも、1年7ヶ月という期間が関わってきます。
▶(一財)建設業情報管理センターの公表サイトから、公表されている写しを取得できる
▶それでも対応が難しい場合は、受け付けた建設業窓口で「原本証明」を申し出る(様式6)
▶原本証明を申し出られるのは、申し出る日の1年7ヶ月前の日以降に審査基準日が含まれる結果通知書のみ
【実務上のポイント】
つまり、有効期間が過ぎたものについては原本証明を受けられません。結果通知書は入札参加資格の申請でも提出を求められる書類です。届いたらすぐにPDF化して保存し、原本は別途保管するという二重の管理をおすすめします。
違います。起点は審査基準日(事業年度終了の日)です。結果通知書の通知日にかかわらず、審査基準日が有効期間満了の日の起点になります。通知が遅れれば、実際に使える期間はその分短くなります。
問題ありません。求められているのは、契約締結日の時点で有効な結果通知書が交付されていることです。工事の完成が有効期間の後になっても、契約そのものに影響はありません。
新しい決算日が審査基準日になります。ただし、審査対象事業年度が12か月に満たない場合は、あわせて12か月以上になる決算期に対しての確認書類を持参する必要があります。決算期変更を予定している場合は、事前に窓口に相談してください。
▶結果通知書は審査基準日から起算して1年7ヶ月後の日まで有効
▶起点は審査基準日(決算日)であり、通知書を受け取った日ではない
▶この義務は入札参加資格の有無とは無関係に、公共工事の受注そのものに課される
▶有効な結果通知書がない間は公共工事を受注できない
▶審査基準日は「申請日直前の事業年度終了の日」。前の期に戻って受け直すことはできない
▶事業年度終了届を期限内(決算日から4か月以内)に提出し、そのとき予約を申し出れば空白は生じにくい
▶結果通知書は再発行されない。原本証明も1年7ヶ月以内のものに限られる
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