【建設業許可】設計の経験でも営業所技術者等になれる?|愛知県の実務経験ルール

【建設業許可】設計の経験でも営業所技術者等になれる?|愛知県の実務経験ルール

現場経験がなく設計業務しかない場合でも営業所技術者等になれます。発注者側の設計技術者としての経験も対象です。必要な実務経験年数、指定学科一覧、認められない経験までを愛知県稲沢市の行政書士が解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「現場に出た経験はないけれど、設計の経験ならある」——このケースで営業所技術者等になれるかどうかは、許可が取れるかを左右します。
結論として、設計業務の経験は実務経験として認められます。しかも、請け負う側だけでなく、発注者(注文者)の立場で設計技術者として設計業務に従事した経験も対象です。


この記事では、営業所技術者等(旧:専任技術者)の実務経験として何が認められ、何が認められないのか、必要な年数と数え方まで整理します。



結論:設計業務は実務経験として認められます    CONCLUSION

営業所技術者等に認められる実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいいます。


▶工事施工のための指揮・監督/当然に実務経験
▶建設機械の操作等、施工に直接携わった経験/当然に実務経験
▶見習中の者が技術の習得のために行う技術的な経験/認められる
▶注文者として、発注に当たり設計技術者として設計業務に従事した経験/認められる


見落とされやすいのが最後の項目です。この実務経験は、建設工事の請負人としての立場で行った経験だけではありません。発注する側にいた設計技術者の経験も含まれます。


【実務上のポイント】
建設会社ではなく設計事務所や発注者側の部署にいた方について、「うちの会社での施工経験がないから無理だろう」と最初からあきらめてしまうケースがあります。設計業務に従事していたのであれば、営業所技術者等になれる可能性があります。


営業所技術者等に必要な実務経験の年数    YEARS

営業所技術者等については、国家資格がなくても、一定期間の実務経験があれば資格要件を満たすことができます許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、次のいずれかの実務経験がある方が対象です。


学歴・資格 必要な実務経験
①大学卒業 3年以上
②高等専門学校卒業 3年以上
③専門学校卒業(高度専門士、専門士) 3年以上
④専門学校卒業(③以外) 5年以上
⑤高等学校等卒業 5年以上
⑥一級の1次技術検定合格 3年以上
⑦二級の1次技術検定合格 5年以上
⑧①~⑦以外の学歴の場合 10年以上
⑨複数業種について 一定期間以上


条件が2つあります。


▶①~⑤/いずれも次の指定学科を卒業していることが必要
▶⑥⑦/技術検定種目と対応する業種に限る(指定建設業(土・建・電・管・鋼・舗・園)と通を除く)


⑥⑦は令和5年7月の改正で加わったルートです。技士補として1次検定に合格していれば、10年の実務経験が3年または5年で足りることになります。


指定学科一覧    SHITEI GAKKA

学歴で年数を短縮するルート(①~⑤)を使う場合、卒業した学科が業種ごとの指定学科に該当している必要があります。


許可を受けようとする建設業 指定学科
土木工事業、舗装工事業 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ。)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業、大工工事業、ガラス工事業、内装仕上工事業 建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロツク工事業、塗装工事業、解体工事業 土木工学又は建築学に関する学科
電気工事業、電気通信工事業 電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業、水道施設工事業、清掃施設工事業 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
鋼構造物工事業、鉄筋工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
しゆんせつ工事業 土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業 建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業 土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業、消防施設工事業 建築学、機械工学又は電気工学に関する学科
熱絶縁工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業 土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業 土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業 建築学又は機械工学に関する学科


出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」表4(建設業の種類別所定学科)


学科名は高校や大学によって異なるため、指定学科に該当するか判断が難しい場合は、申請先の許可行政庁に確認してください。愛知県知事許可であれば、愛知県の手引きでも判断が困難な場合は卒業証明書や成績証明書等が必要になるとされています。



実務経験として認められないもの    NG

一方で、実務経験と認められないものもあります。


技術上の経験にあたらないもの

建設工事の現場に出入りをしていても、現場の単なる雑務を行っていた経験や事務作業の経験は、技術上の実務経験にはなりません。

さらに、一定の資格がないと実務経験として認められない業種があります。


▶電気工事・消防施設工事/電気工事士免状や消防設備士免状等の交付を受けた者でなければ直接工事に従事できないため、免状等がない者の経験期間は認められない
▶解体工事/建設リサイクル法施行後の経験は、とび・土工工事業の許可がある業者での経験、又は建設リサイクル法に基づく解体工事業登録を行っている業者での経験でなければ認められない


この3業種は、本人が長年やってきたつもりでも年数がまったく積み上がらないことがあるため、特に注意が必要です。


実務経験の期間の数え方    COUNT

経験期間において認められる経験業種は原則として1業種です。複数業種を経験している場合でも、経験期間が重複して計算されることはありません。


【実務上のポイント】
一方で、経験期間は連続である必要はなく、積み上げて合計した期間でよいとされています。間に別の仕事を挟んでいても、その前後の期間を足して年数を満たせます。


例外もあります。平成28年5月31日までにとび・土工工事業の許可で請け負った解体工事に係る実務経験の期間については、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業と解体工事業の両方の実務経験の期間として二重に計算することが認められています


10年に届かないときの緩和措置(愛知県)    KANWA

指定学科の卒業も技術検定の合格もない場合、原則は10年の実務経験が必要です。ただし愛知県の手引きには、近い業種の経験を合わせることで実務経験の期間が最大2年間緩和される「実務経験の緩和措置」が定められています。


緩和措置の要件

A欄の工事業と、それに対応するB欄のうちいずれかひとつの工事業の経験が合わせて12年以上あり、そのうちB欄の当該工事業の経験が8年を超えていること


この要件を満たす場合、B欄の当該工事業の有実務経験者として認定されます。

A欄 B欄(認定される業種)
土木工事業 とび・土工、しゆんせつ、水道施設及び解体工事業
建築工事業 大工、屋根、ガラス、防水、内装仕上、熱絶縁及び解体工事業
大工工事業 内装仕上工事業
内装仕上工事業 大工工事業
とび・土工工事業 解体工事業
解体工事業 とび・土工工事業


出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」表5(実務経験の緩和措置)


【実務上のポイント】
例えば内装仕上工事業を取りたいが実務経験が8年しかない、というケースでも、大工工事業の経験と合わせて12年以上あり、内装仕上の経験が8年を超えているなら、内装仕上工事業の有実務経験者として認定されます。
「10年に2年足りない」という段階であきらめる前に、近い業種の経験を合わせて12年に届かないかを確認してみてください。なお、この緩和を使う場合は前表ロ(10年)ではなくハに該当する扱いになります。


営業所技術者等の役割や、経管との兼務の可否については別記事で解説しています。
社内に該当者がいない場合の出向の使い方についても、別記事にまとめています。


まとめ    SUMMARY

▶実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験
▶注文者側で設計技術者として設計業務に従事した経験も実務経験になる
▶見習中の技術習得のための技術的な経験も認められる
▶指定学科の卒業や技術検定の合格があれば、10年ではなく3年または5年で足りる
▶単なる雑務や事務作業は実務経験にならない
▶電気工事・消防施設工事・解体工事は、免状や許可・登録の有無で年数が積み上がらないことがある
▶経験期間は連続でなくてよく、積み上げた合計で判断する
▶愛知県では、近い業種の経験を合わせて12年以上(当該業種8年超)なら実務経験が最大2年緩和される


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