建設業許可の業種追加とは?要件・必要書類・手数料と更新との関係【愛知県】

建設業許可の業種追加とは?要件・必要書類・手数料と更新との関係【愛知県】

建設業許可の業種追加の要件・必要書類・手数料を愛知県の最新の手引きに沿って解説。般・特新規との違い、営業所技術者等の実務経験が重複計算できない点、許可の満了日を揃える「一本化」まで実務目線で整理します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「とび・土工工事業の許可はあるが、解体工事も自社で請けたい」——このときに使うのが「業種追加」の申請です。
業種追加でいちばんの関門になるのは、追加する業種の営業所技術者等を置けるかどうかです。経営業務の管理責任者は既存の許可で認められている方をそのまま使えます。


一方で、業種追加には「許可の満了日がバラバラになる」という後々効いてくる落とし穴もあります。この記事では、業種追加の要件・必要書類・手数料に加えて、更新との組み合わせ方まで、愛知県の最新の手引きに沿って整理します。


【追加する業種を決める前に】
どの業種を追加すべきかは、実際に請け負う工事の内容で判断します。発注者が付けた工事の名称ではなく工事の内容で区分されるため、建設業許可の29業種一覧と業種の選び方で、自社の工事がどの業種にあたるかを確認しておくことをおすすめします。



結論:業種追加は「同じ許可区分のまま業種を増やす」申請    CONCLUSION

建設業の許可は29の業種ごとに与えられます。すでに許可を受けている会社が、別の業種の許可も受けたいときに使うのが「業種追加」です。愛知県の手引きでは、次の2つのケースが業種追加に当たるとされています。


▶ア 一般建設業の許可を受けている方が、他の業種について一般建設業の許可を申請する場合
▶イ 特定建設業の許可を受けている方が、他の業種について特定建設業の許可を申請する場合


ポイントは「許可区分が同一のものに限る」という点です。一般の許可しか持っていない会社が特定の許可を取りたい場合は、業種追加ではなく「般・特新規」という別の申請区分になります。


出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」表2(許可の申請区分)・表3(許可手数料一覧表)


業種追加になるケース・ならないケース    JUDGE

似た場面で申請区分を取り違えると、手数料の額も準備する書類も変わってしまいます。まず自社がどれに当たるかを確認してください。


やりたいこと 申請区分 手数料
一般の許可を持っていて、別の業種の一般を取りたい 業種追加 50,000円
特定の許可を持っていて、別の業種の特定を取りたい 業種追加 50,000円
一般の許可しかないが、同じ業種を特定にしたい 般・特新規 90,000円
一般の許可しかないが、別の業種を特定で取りたい 般・特新規 90,000円
愛知県以外の許可行政庁の許可を受けており、営業所を愛知県内のみにする 許可換え新規 90,000円
現在、有効な許可をどの許可行政庁からも受けていない 新規 90,000円


【実務上のポイント】
迷いやすいのが上の表の4行目です。一般建設業の許可しか持っていない会社が、新しい業種を「特定」で取りたい場合も般・特新規になります。「業種を増やすのだから業種追加だろう」と考えると手数料が4万円ずれます。
判断の軸は「業種が増えるかどうか」ではなく、「これまで持っていなかった許可区分に踏み込むかどうか」です。


般・特新規の詳しい要件や手続きの流れは、般・特新規を解説した記事でまとめています。

業種追加で問われる要件    REQUIREMENTS

業種追加でも、審査されるのは新規申請と同じ許可基準です。ただし、すでに満たしていることが確認済みの部分は改めて証明し直す必要がないため、実際の負担は新規より軽くなります。


要件 業種追加での扱い
①経営業務の管理を適正に行うに足りる能力 「建設業に関し」の経験は業種ごとの区別をせず、すべて建設業に関するものとして取り扱われます。既存の許可で認められている常勤役員等をそのまま使えます(現に要件を満たしていることが前提)
②営業所技術者等 追加する業種ごとに必要。ここが最大の関門
③誠実性 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
④財産的基礎又は金銭的信用 許可を受けて継続して5年以上の営業実績があれば確認が省略されます。5年に満たない場合は改めて確認が必要です
⑤社会保険の加入 健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、適用事業所に該当する営業所すべてで届出済みであること
⑥欠格要件に該当しないこと 役員等・令第3条の使用人等について、後見等登記事項証明書・身元証明書の提出が必要です


出典:建設業法第7条・第15条/愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」Ⅱ 許可の基準/愛知県「建設業許可に関するよくある質問と回答」Q3-5


財産要件の「5年ルール」に注意

愛知県のFAQでは、一般建設業の新規許可を受けて3年後に業種追加をする場合、許可を受けて継続して5年以上の営業実績がないため、改めて財産的基礎又は金銭的信用の確認が必要とされています。
新規取得から日が浅いうちに業種追加をする場合は、自己資本500万円以上、または500万円以上の預金残高証明書・融資証明書を用意する必要があると考えておいてください。なお残高証明書は基準日が申請直前4週間以内のもの、融資証明書は発行日が申請直前4週間以内のものが必要です。

最大の関門は「追加する業種の営業所技術者等」    ENGINEER

営業所技術者等は業種ごとに必要です。追加したい業種について、次のいずれかに該当する専任の技術者を営業所に置けるかどうかが実務上のヤマ場になります。


▶指定学科を卒業し、高校等なら5年以上、大学・高専等なら3年以上の実務経験がある方
▶許可を受けようとする業種の工事について10年以上の実務経験がある方
▶国土交通大臣がこれらと同等以上と認定した方(二級建築士、二級土木施工管理技士等の資格者)


なお、必要な資格などがあれば一人で複数業種の営業所技術者等になることもできます。ただし実務経験で証明する場合は注意が必要です。


【実務上のポイント】
愛知県のFAQでは、営業所技術者等になるための実務経験の期間は、複数の業種を重複して計算することはできないと明示されています。たとえば10年の実務経験が必要な業種で2業種の営業所技術者等になるには、経験割合が均等なら最低20年の実務経験が必要という考え方です。
つまり「今の営業所技術者等に、実務経験でもう1業種も担当してもらう」という方法は、想像以上に年数のハードルが高いということです。資格で対応できないか、新たに人を確保できないかを先に検討したほうが現実的なケースが多くあります。


すでに他業種の営業所技術者等になっている方について実務経験を証明する場合、営業所技術者等としての業務期間、提出済みの実務経験証明書、事業年度終了届による請負実績と整合しているかが確認されます。過去に提出した書類と矛盾しないよう、申請前に副本を確認しておいてください。


営業所技術者等の役割や要件の詳細は、営業所技術者等を解説した記事で、社内に該当者がいない場合の出向の使い方は別記事にまとめています。


業種追加の必要書類(愛知県知事許可)    DOCUMENTS

愛知県では、許可申請書と添付書類を正本1部・副本1部の計2部(副本は写し可)で提出します。業種追加(申請区分4)で主に必要になるのは次のような書類です。


様式 書類名・注意点
表紙・裏表紙 愛知県独自様式
第1号 建設業許可申請書(別紙一 役員等の一覧表、別紙二(1) 営業所の一覧表、別紙三 県証紙貼付、別紙四 営業所技術者等一覧表)
第2号・第3号 工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額(実績なしの場合も作成)
第4号・第6号 使用人数、誓約書
第7号/第7号の2 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書 ほか
第7号の3 健康保険等の加入状況
第8号 営業所技術者等証明書+資格を証明する資料(追加業種分)
第9号・第10号 実務経験証明書/指導監督的実務経験証明書(該当する場合)
第11号・第12号・第13号 令第3条の使用人の一覧表、許可申請者の住所・生年月日等に関する調書 ほか
後見等登記事項証明書、身元(身分)証明書(いずれも申請時3か月以内のもの)
第14号ほか 株主(出資者)調書、定款、履歴事項全部証明書などは、すでに提出された書類と内容・表示が異なる場合に提出


出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」Ⅳ-2 許可申請書、添付書類及び確認資料(申請区分4)


▶資格免状は原本提示不要。写しの提出で足りる
▶すでに資格免状の写しを提出済みで、その資料により今回申請する業種の営業所技術者等としての資格を証明できる場合は、再提出を省略できる
▶営業所の確認資料(営業所の写真等)は、営業所の新設を伴わない業種追加では不要


申請の前に済ませておくこと    BEFORE

業種追加の申請書を作る前に、次の2つが片づいているか必ず確認してください。ここが未了だと申請そのものが進みません。


①事業年度終了届(決算変更届)

建設業許可を受けた方は、毎事業年度経過後4か月以内に事業年度終了届出書を提出しなければなりません(建設業法第11条第2項)。愛知県も「複数年分をまとめて提出することのないように、提出期限を守ってください」と案内しています。
未提出の年度があると、その分を先に提出してからでないと手続きが進みません。納税証明書(県税事務所発行、事業税の納付すべき額及び納付済額の記載のあるもの)の添付も必要です。課税額が無い場合でも添付します。

②変更届

役員の就任・退任、商号や所在地の変更、経営業務の管理責任者や営業所技術者等の変更などがあったのに届出をしていないと、申請前に変更届の提出を求められます。経営業務の管理責任者や営業所技術者等の変更は、変更の事由が発生してから14日以内に届け出る必要があります。
なお、変更届と申請書はそれぞれ別の手続きとして扱われるため、両方に提出が求められている後見等登記事項証明書や身元証明書はそれぞれに添付が必要です。

業種追加をすると許可の満了日がずれます    PERIOD

ここが業種追加でいちばん後を引く問題です。業種追加で取得した許可は、その許可日から新たに5年間の有効期間となるため、既存の業種と満了日が一致しません。


【実務上のポイント】
たとえば管工事業の許可が令和10年3月31日まで有効な会社が、令和8年10月に電気工事業を業種追加したとします。この場合、管工事業は令和10年3月31日、電気工事業は令和13年10月○日という2つの満了日ができます。
その結果、更新のたびに5万円の手数料が別々に発生し、更新手続そのものを忘れるリスクも高まります


これを解消する制度が「許可の有効期間の調整」(許可の一本化)です。愛知県のFAQでは、業種追加や般・特新規の申請と同時に、許可日が異なる現在有効なすべての建設業許可の更新申請をまとめて行うことにより、許可日を一つに統一することと説明されています。


申請の仕方 申請区分 手数料
業種追加だけを申請する 4.業種追加 50,000円
業種追加と同時に、既存の許可も更新して許可日を揃える 8.業種追加+更新 100,000円
一般と特定の両方を更新し、一方の区分を追加する 8.業種追加+更新 150,000円
一般と特定の両方を追加し、両方を更新する 8.業種追加+更新 200,000円



一本化には目先の手数料が5万円上乗せになりますが、その後の更新が1回で済むため、業種を複数持つ会社にとっては管理コストの面で有利になることが多い制度です。ただし更新のタイミングと重ならないと使えないため、業種追加を検討する段階で満了日を確認しておいてください。


「業種追加+更新」は期限に要注意    DEADLINE

更新を含む申請には、通常の業種追加より厳しい期限があります。


愛知県での期限の取扱い

▶更新を含む申請区分(7.般・特新規+更新/8.業種追加+更新/9.般・特新規+業種追加+更新)は、必ず許可期間満了の日の30日前までに申請


▶許可の有効期限の30日前までに「本受付」する必要がある。30日前以降の本受付になる場合は、更新と業種追加の申請をそれぞれ別の申請に分けることになる


▶許可期間満了まで50日を切った「更新を伴う業種追加等」の申請は、郵送ではなく窓口受付


愛知県では仮受付(郵送・投函・窓口で書類を預かる)→内容確認・補正→本受付(手数料の納付)→審査という流れで手続きが進みます。「書類を出した日」ではなく「本受付の日」が基準になる点に注意してください。本受付後の審査期間は概ね1か月です。


【実務上のポイント】
「更新のついでに業種追加も」と考えるなら、満了日の3か月前には書類が揃っている状態を目指してください。愛知県では更新申請の受付が有効期限の3か月前から始まります。補正のやり取りに時間がかかることを織り込むと、この時点でスタートしておくのが安全です。


追加する業種の選び方で迷ったら    SELECT

「この工事はどの業種になるのか」で判断を誤ると、そもそも必要のない業種を追加してしまったり、逆に必要な業種が抜けたりします。


▶業種の判断は法令等に基づいて行われる/発注者が「土木工事」「機械器具設置工事」として発注した工事でも、工事内容が他の専門工事に該当する場合は、発注された業種の工事としては認められない
▶複数業種が関わる工事が必ず一式工事になるわけではない(多くは附帯工事)
▶建築一式工事の許可があっても、個別の専門工事の施工はできない
▶許可を受けた業種でも、届出をしている営業所以外では当該業種について営業できない


【実務上のポイント】
判断に迷いやすい代表例が、附帯工事との切り分けです。附帯工事とは、主たる工事の施工により必要を生じた従たる工事で、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものを指します。エアコン設置工事(管工事業)に伴う電源工事(電気工事業)などが典型です。
附帯工事の範囲で収まるなら、その業種の許可を取らなくても請け負えます。「元請から求められたから」という理由だけで業種を増やす前に、附帯工事で足りないかを確認すると、無駄な手数料と手間を避けられます。


まとめ    SUMMARY

▶業種追加とは、同じ許可区分(一般なら一般、特定なら特定)のまま業種を増やす申請
▶許可区分をまたぐ場合は業種追加ではなく般・特新規(手数料9万円)
▶愛知県知事許可の業種追加の手数料は5万円(一般と特定の両方なら10万円)
▶経営業務の管理責任者は既存のままでよいが、営業所技術者等は追加する業種ごとに必要
▶実務経験は複数業種で重複計算できないため、資格での対応を先に検討したい
▶許可を受けて継続5年未満なら、財産的基礎の確認が改めて必要
▶事業年度終了届と変更届が済んでいることが前提
▶業種追加で満了日がずれるため、「許可の有効期間の調整(一本化)」の活用を検討する
▶業種追加+更新は、許可期間満了の日の30日前までに本受付が必要


業種追加は、要件そのものより「誰を営業所技術者等にするか」と「更新と合わせるかどうか」で難易度も費用も変わります。判断は個別事情によって変わりますので、追加したい業種が決まった段階でご相談いただくのが確実です。


追加したい業種の営業所技術者等を置けるかどうかの確認からご相談いただけます。


初回相談は無料です

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