【建設業許可】経営業務の管理責任者・営業所技術者等はテレワークでも常勤性が認められる?愛知県の実務対応

【建設業許可】経営業務の管理責任者・営業所技術者等はテレワークでも常勤性が認められる?愛知県の実務対応

建設業許可の経営業務の管理責任者や営業所技術者等は、テレワークでも常勤性が認められます。体制を組んでから差戻しにならないため、認められる条件と実態のない営業所という限界を愛知県稲沢市の行政書士が解説します。

【この記事を書いた人】  行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県の稲沢市を中心に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
許可取得後に毎年発生する手続きまで含めて、継続的にサポートしています。


建設業許可の要件では、経営業務の管理責任者や営業所技術者等(旧:専任技術者)に「常勤性」が求められます。一方で、新型コロナウイルスの流行を経てテレワークは一般的な働き方になりました。「毎日営業所に出勤しないと常勤とは認められないのか」——この疑問について、令和3年12月9日の建設業許可事務ガイドラインの改正により、テレワークによっても常勤性が認められることが明確になっています。ただし、何でも認められるわけではありません。この記事では、テレワークが常勤性を満たすための条件と、実態のない営業所は認められないという限界について解説します。



テレワークでも常勤性が認められるTelework Allowed

建設業許可の要件が求める常勤性等について、令和3年12月9日の建設業許可事務ガイドラインの改正により、テレワークによっても常勤性が認められることが明確となりました


対象となるのは次の方々です。


▶常勤役員等(経営業務の管理責任者等)
▶営業所技術者等(旧:専任技術者)
▶建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条使用人)


なお、令3条使用人の常勤性とテレワークの取扱いについては、別の記事で詳しく解説しています。


ここでいう「テレワーク」の定義Definition

ガイドラインにおけるテレワークとは、営業所等勤務を要する場所以外の場所で、次の状態を満たしながら職務に従事することをいいます。


▶ICTの活用/メールの送受信、契約書や設計図書等の書面の確認、電話がつながることなど
▶常時連絡/営業所等で職務に従事している場合と同等の連絡が、所定の時間中に常時取れること
▶職務の遂行/営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行できる環境であること


ポイントは、判断が「自宅にいるかどうか」ではなく、営業所にいる場合と同等の職務遂行と連絡体制が確保されているかに置かれていることです。国土交通省のQ&Aでも、ICT機器の使用状況等を含めて総合的に判断するとされており、メールの送受信ができること、契約書・設計図書等の書面が確認できること、電話がつながることなどが必要になると考えられています。


国土交通省のQ&Aで示されている考え方Official Q And A

国土交通省は「営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A」を公開しています。実務上とくに重要な4点を整理します。


疑問 考え方

ICTを活用していれば
どのような環境でもよいのか

ICT機器の使用状況等を含め総合的に判断される。メールの送受信、契約書・設計図書等の書面の確認、電話がつながることなどが必要

「専任」の要件そのものが
緩和されたのか

変更はない。「専任」とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者を指す

営業所の従業員全員が
テレワークで無人になってもよいか

営業所等の連絡先が無く発注者等が把握できない状態は不可。発注者等から対面での対応を求められることも想定し、対面での打合せが可能な環境を整えておく必要がある

営業所と遠く離れた場所での
テレワークは可能か

常識上通勤不可能な者は営業所に常駐しないものとして取り扱われ、「専任」の要件を満たさない


「テレワークOK=どこに住んでいてもよい」ではありません
たとえば、北海道の営業所の営業所技術者等に沖縄県在住の者が就任することはできません。営業所専任技術者等には、緊急時等には対面での説明・現場確認が求められるケースも考えられます。従来から、営業所に常識上通勤に residing していない者は「常勤」に当たらないものとして扱われており、この点はテレワークが認められた後も変わっていません。


「専任」である以上、兼務はできないExclusivity

テレワークが認められたことで、「複数の営業所を掛け持ちできるのでは」と考える方がいますが、それはできません。


▶1人の営業所技術者等が複数の営業所の技術者を兼ねることはできない
▶他の営業所の営業所技術者等との兼務はできない
▶他の建設業者の営業所技術者等との兼務はできない
▶他の法令により専任を要する者(専任の宅地建物取引士、建築士事務所の管理建築士等)との兼任は原則不可
▶他に個人営業を行っている者や、他の法人の常勤役員である者は原則不可


テレワークが解決したのは「勤務場所」の問題であって、「専任性」の問題ではない、と理解しておくと整理しやすくなります。



実態のない営業所を設置することはできないReal Office Required

テレワークが認められるのであれば、実態のない営業所の設置も可能なように思えるかもしれません。しかし、これは認められません


営業所技術者等のテレワークは、あくまで「営業所技術者等が営業所に専任している」ことを前提に、その勤務場所として自宅等を認めるものです。営業所そのものに実態がなければ、営業所の要件を満たさないため、テレワークかどうか以前の問題として許可を受けられません。


【実務上のポイント】
建設業法上の営業所とは、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。契約締結の権限を委任された者が置かれ、事務スペース・固定電話・什器等が整い、看板等で外部から建設業の営業所と認識できる状態が必要です。愛知県では申請時に営業所の写真の提出が求められますので、実態の確認は書面上でも行われます。


愛知県での常勤性の確認資料Aichi Documents

常勤性は、書面によって確認されます。ここで注意が必要なのが、健康保険被保険者証の取扱い変更です。


健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について
愛知県では、令和7年12月2日以降、健康保険被保険者証が使用できなくなることを踏まえ、常勤性の確認書類の取扱いを変更しています。従来どおり保険証の写しを添付すればよいという前提で書類を準備すると差戻しになりますので、申請前に必ず愛知県の最新の案内を確認してください。


また、テレワークによる勤務を前提とする場合、住所地と営業所との距離・通勤経路について説明を求められる可能性があります。「常識上通勤可能か」が判断のポイントになる以上、遠方に居住している方を経管や営業所技術者等に据える場合は、事前に管轄の建設事務所へ相談したうえで進めることをおすすめします。



まとめSummary

▶令和3年12月9日のガイドライン改正により、テレワークでも常勤性が認められることが明確化された
▶対象は常勤役員等(経営業務の管理責任者等)、営業所技術者等(旧:専任技術者)、令3条使用人
▶ICTの活用により、営業所にいる場合と同等の職務遂行・常時連絡ができることが条件
▶「専任」の要件自体に変更はなく、複数営業所の兼務や他社との兼務はできない
▶常識上通勤不可能な場所に居住している者は「常勤」に当たらない
▶実態のない営業所は、テレワークを理由に認められることはない
▶愛知県では健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類の取扱いが変更されている


テレワークが認められたことで、遠方の人材を経営業務の管理責任者や営業所技術者等として迎えられる余地は広がりました。しかし、常勤性・専任性の判断は最終的に許可行政庁が個別に行うものであり、事前の確認なく体制を組むと、更新時や決算変更届の際に指摘を受けるリスクがあります。


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・常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の要件について解説した記事はこちら
・建設業法上の営業所の定義について解説した記事はこちら



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