

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
経審の申請先は2か所に分かれています。そのうち「経営状況分析」は愛知県ではなく、民間の登録経営状況分析機関に申請します。
ここで算出されるのがY評点、つまり会社の財務内容の点数です。総合評定値(P点)の20%を占め、8つの財務指標だけで機械的に決まります。
この記事では、経営状況分析の申請方法と、Y評点がどう計算されるのかを整理します。
経営事項審査は、①経営状況と②経営規模・技術的能力その他の客観的事項の2つに分かれています(建設業法第27条の23第2項)。このうち①を審査するのが経営状況分析です。
▶申請先/国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関
▶審査するもの/経営状況(財務内容)
▶結果/経営状況分析結果通知書(Y評点が記載される)
▶P点への影響/ウエイト0.20
経営規模等評価の申請には、経営状況分析結果通知書の添付が必要です(総合評定値を請求する場合)。したがって、経営状況分析を先に済ませておく必要があります。
分析結果が届く前に審査日が来てしまうと、その日は審査を受けられません。全体の流れは経営事項審査の流れの記事で確認してください。
令和8年3月現在、登録経営状況分析機関は全国に10機関あります。所在地による制限はなく、どの機関に申請しても構いません。
| 登録番号 | 機関名 | 所在地 |
|---|---|---|
| 1 | (一財)建設業情報管理センター | 東京都中央区 |
| 2 | (株)マネージメント・データ・リサーチ | 熊本県熊本市 |
| 4 | ワイズ公共データシステム(株) | 長野県長野市 |
| 5 | (株)九州経営情報分析センター | 長崎県長崎市 |
| 7 | (株)北海道経営情報センター | 北海道札幌市 |
| 8 | (株)ネットコア | 栃木県宇都宮市 |
| 9 | (株)経営状況分析センター | 東京都港区 |
| 10 | 経営状況分析センター西日本(株) | 山口県宇部市 |
| 11 | (株)NKB | 福岡県北九州市 |
| 22 | (株)建設業経営情報分析センター | 東京都立川市 |
出典:愛知県「経営事項審査申請等の手引」(令和8年7月)P7(令和8年3月現在)。登録機関は追加・廃止されることがあります。最新情報は国土交通省ホームページでご確認ください。
【実務上のポイント】
受付時期・必要書類・手数料は機関ごとに異なります。申請する前に、選んだ機関に直接確認してください。分析にかかる日数も機関によって差があるため、審査日から逆算して余裕のある時期に申請することをおすすめします。
なお、どの機関を選んでもY評点の計算結果は変わりません。算式は全国共通で定められているためです。選ぶ基準は、手数料・処理日数・電子申請への対応といった実務面になります。
経営状況分析では、次の8つの指標を使います。
| 属性 | 指標 | 算出式 | 上限値 | 下限値 |
|---|---|---|---|---|
| 負債抵抗力 | 純支払利息比率 | (支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100 | 5.1% | -0.3% |
| 負債回転期間 | (流動負債+固定負債)÷(売上高÷12) | 18.0ヶ月 | 0.9ヶ月 | |
| 収益性・効率性 | 総資本売上総利益率 | 売上総利益÷総資本(2期平均)×100 | 63.6% | 6.5% |
| 売上高経常利益率 | 経常利益÷売上高×100 | 5.1% | -8.5% | |
| 財務健全性 | 自己資本対固定資産比率 | 自己資本÷固定資産×100 | 350.0% | -76.5% |
| 自己資本比率 | 自己資本÷総資本×100 | 68.5% | -68.6% | |
| 絶対的力量 | 営業キャッシュ・フロー(絶対額) | 営業キャッシュ・フロー(2年平均)÷1億 | 15.0億円 | -10.0億円 |
| 利益剰余金(絶対額) | 利益剰余金÷1億 | 100.0億円 | -3.0億円 |
▶純支払利息比率と負債回転期間は、数値が小さいほど評点にプラスに働く
▶総資本売上総利益率の総資本は2期平均。平均額が3,000万円未満の場合は3,000万円とみなす
▶個人の場合、売上総利益は完成工事総利益、経常利益は事業主利益、利益剰余金は純資産合計と読み替える
8つの指標から、まず経営状況点数(A)を求めます。
A=-0.4650×X1-0.0508×X2+0.0264×X3+0.0277×X4+0.0011×X5+0.0089×X6+0.0818×X7+0.0172×X8+0.1906
(小数点第3位四捨五入)
Y=167.3×A+583
(小数点第1位四捨五入)
係数を見ると、X1(純支払利息比率)の係数が-0.4650と突出して大きいことがわかります。次いでX7(営業キャッシュ・フロー)の0.0818です。
【実務上のポイント】
すべての指標に上限値と下限値が設けられています。つまり、どれだけ良い数値でも上限を超えれば頭打ちになり、逆に悪くても下限までしか下がりません。
Y評点を意識するのであれば、上限に達していない指標のうち係数の大きいものから確認するのが合理的です。ただし、経審のためだけに財務を操作することは本末転倒です。あくまで決算の結果として現れる数値であり、粉飾は虚偽申請として罰則の対象になります。
必要書類は機関ごとに異なりますが、一般的には次のものが基礎になります。
▶経営状況分析申請書(様式第二十五号の十)
▶財務諸表(税抜き処理。免税事業者を除く)
▶建設業許可の通知書または許可申請書の写し等
▶前期分の資料(総資本2期平均・営業キャッシュ・フロー2年平均を使うため)
2期分の数値を使う指標があるため、前期の資料も必要になります。初めて分析を受ける場合は、前期分の財務諸表もそろえておいてください。
なお、財務諸表は税抜き処理にしたものである必要があります(免税事業者を除く)。決算変更届を税込みで作成している場合は、差替えが必要になります。詳細は経営事項審査の必要書類の記事をご覧ください。
分析が完了すると、経営状況分析結果通知書(様式第二十五号の十三)が交付されます。
▶経営規模等評価の申請時に添付する(総合評定値を請求する場合)
▶通知書の右上に登録経営状況分析機関の登録番号が記載されている。申請書の項番に転記する
▶電子申請でJCIP上に認証キーを入力し、愛知県で内容が確認できた場合は添付不要
【実務上のポイント】
分析結果通知書には、8つの指標の数値と経営状況点数(A)、Y評点が記載されています。自社の財務がどの指標で点を落としているかが一目でわかる資料です。
公共工事の受注のためだけでなく、毎年の財務チェックの材料として活用すると、翌期の経営判断にも役立ちます。
Y評点のウエイトは0.20です。総合評定値(P点)は次の式で決まります。
P=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W
財務内容が良くても、完成工事高(X1)や技術力(Z)が低ければP点は伸びません。逆に、財務が思わしくなくても他の要素で補うことができます。全体像は総合評定値(P点)とはの記事で解説しています。
短期間で動かしやすいのはW評点です。加点項目は経審の点数を上げる方法の記事にまとめています。
▶経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関に申請する
▶令和8年3月現在10機関。所在地による制限はなく、どこを選んでも評点は変わらない
▶受付時期・必要書類・手数料は機関ごとに異なるため、直接確認が必要
▶Y評点は8つの財務指標から機械的に算出される
▶A=各指標に係数を掛けて合計、Y=167.3×A+583
▶各指標には上限値と下限値があり、良すぎても頭打ちになる
▶2期分の数値を使う指標があるため、前期の資料も必要
▶財務諸表は税抜き処理にしたもの(免税事業者を除く)
▶分析結果通知書は経営規模等評価の申請時に添付する
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