

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
建設業許可の有効期間は5年です。1日でも過ぎてしまうと更新はできず、ゼロから新規申請をやり直すことになります。
そして更新でつまずく原因の大半は、要件ではなく「事業年度終了届(決算変更届)が出ていない」「変更届を出していない」という、日々の届出の積み残しです。
この記事では、更新申請の期限と数え方、愛知県での受付の運用、更新前に必ず片づけておくこと、必要書類と費用、そして万一期限を過ぎてしまった場合の対応までを整理します。
建設業法第3条第3項は、許可は5年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失うと定めています。国土交通省も、更新の申請は従前の許可の有効期間が満了する30日前までに行うことが必要としています。
愛知県知事許可の場合、受付の運用は次のとおりです。
▶引き続き許可を受けようとする方は、原則として許可の有効期間満了の日の3か月前から30日前までに更新の申請をする
▶許可期間満了まで30日を切った更新申請は、郵送ではなく窓口受付になる
▶許可の有効期限まで30日を過ぎた日以降の申請は、電子申請システム(JCIP)では受け付けられない
出典:建設業法第3条第3項/国土交通省「建設業の許可とは」/愛知県「建設業許可に関するよくある質問と回答」Q3-1/愛知県「4.許可の申請手続きについて」
建設業許可の有効期間は5年間で、許可のあった日から5年目の「許可があった日に相当する日」の前日までです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 許可年月日 | 令和3年10月1日 |
| 有効期間の満了日 | 令和8年9月30日 |
| 愛知県での受付開始(3か月前) | 令和8年6月30日ごろ |
| 申請期限の目安(30日前) | 令和8年8月31日ごろ |
愛知県のFAQでは、有効期間の満了日が日曜日等の閉庁日であっても、その日が許可の満了日となると明記されています。「翌開庁日まで大丈夫だろう」という判断は通用しません。
正確な満了日は、お手元の許可通知書または許可申請書の副本で確認してください。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」でも許可有効期限を確認できます。
なお、更新がされたときは、その許可の有効期間は従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算されます(建設業法第3条第5項)。早めに申請して早めに許可が下りても、有効期間が短くなることはありません。早く出して損をすることはないので、受付開始と同時に動くのが理想です。
更新申請そのものより先に、次の3つを確認してください。ここが未了だと、更新申請を受け付けてもらえません。
建設業許可を受けた方は、毎事業年度経過後4か月以内に事業年度終了届出書を提出しなければなりません(建設業法第11条第2項)。そして愛知県は、FAQで次のように明記しています。
建設業許可の更新申請の際には、前回申請から更新申請までの間の事業年度終了届出書が提出されていなければなりません。
(愛知県「建設業許可に関するよくある質問と回答」A5-1)
つまり、5年分のうち1年でも抜けていると、そのままでは更新申請ができません。抜けている年度分をすべて作成・提出してから、更新申請に進むことになります。事業年度終了届には納税証明書(県税事務所発行、事業税の納付すべき額及び納付済額の記載のあるもの)の添付が必要で、課税額がない場合でも添付します。
【実務上のポイント】
更新の相談で最も多いのが「決算変更届を数年分ためてしまった」というケースです。複数年分をまとめて作ると、工事経歴書と財務諸表を年度分だけ作り直すことになり、時間も費用もかさみます。愛知県も「複数年分をまとめて提出することのないように、提出期限を守ってください」と案内しています。
更新の1年前ではなく、毎年決算後4か月以内に淡々と出しておくことが、結果的にいちばん安く済みます。
役員の就任・退任、商号や所在地の変更、経営業務の管理責任者や営業所技術者等の変更などがあったのに届出をしていない場合、更新申請の前に変更届を提出する必要があります。
愛知県のFAQでは、「更新は既に受けている建設業の許可を、そのままの内容で申請する場合」の取扱いとなるため、更新申請に現在の状況を記載することで変更届の提出を省略することはできないとされています。経営業務の管理責任者や営業所技術者等の変更届は、変更の事由が発生してから14日以内が期限です。
更新は「現在の状態で改めて許可基準を満たしているか」を確認する手続きでもあります。特に次の点は要注意です。
▶経営業務の管理責任者となっている常勤役員等が退任・死亡していないか
▶営業所技術者等が退職・非常勤化していないか
▶社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)に適正に加入しているか
▶役員等に欠格要件に該当する方がいないか
▶特定建設業の場合、直前決算で財産的基礎の要件を満たしているか
出典:建設業法第7条・第8条・第11条・第15条/愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」/愛知県「建設業許可に関するよくある質問と回答」A4-6、A4-7、A5-1
ここは一般建設業と特定建設業で扱いが大きく分かれるところです。
| 区分 | 更新時の財産的基礎の確認 |
|---|---|
| 一般建設業 | 「直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること」で要件を満たすため、更新時は原則として確認資料の提出が不要 |
| 特定建設業 |
更新時も、直前の決算(様式第15号・第18号)で次のすべてを確認される |
出典:建設業法第7条第4号・第15条第3号/愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」Ⅱ 許可の基準・Ⅳ-2 確認資料
なお、経営再建中の方については、更新に限り特例措置を受けられる場合があります。申請日の直前の決算では要件を満たさないが更新の日までに満たすことになる場合や、会社更生手続開始・民事再生手続開始の申立てをした場合などに、許可条件の付与や更新の留保という形で取り扱われるものです。該当しそうな場合は、必ず事前に管轄窓口へ相談してください。
更新前に解消しておくべき未提出の届出についてはこちらの記事で解説しています。
更新申請書は正本1部・副本1部の計2部(副本は写し可)で提出します。前回の申請書副本を参考にしながら作成するのが基本です。
▶更新では「営業所の一覧表(更新)」(別紙二(2))を使用する
▶営業所の確認資料(営業所の写真等)は不要(営業所の新設・所在地変更を伴う場合のみ必要)
▶工事経歴書・直前3年の各事業年度における工事施工金額・使用人数などは更新でも必要
▶後見等登記事項証明書、身元(身分)証明書は申請時3か月以内のものが必要
▶定款や株主(出資者)調書に変更があれば提出が必要
▶すでに提出済みの資格証明書等で今回申請する営業所技術者等の資格を証明できる場合、再提出は不要
| 申請区分 | 一般又は特定の一方のみ | 一般と特定の両方 |
|---|---|---|
| 5.更新 | 50,000円 | 100,000円 |
| 7.般・特新規+更新 | 140,000円 | |
| 8.業種追加+更新 | 100,000円 | 150,000円又は200,000円 |
| 9.般・特新規+業種追加+更新 | 190,000円 | |
出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」表3(許可手数料一覧表)・Ⅳ-2
手数料は愛知県収入証紙またはキャッシュレス決済で納めます。愛知県手数料条例第6条により、申請を取り下げた場合や不許可となった場合でも還付されません。
愛知県では窓口での対面審査を行わず、次の流れで手続きが進みます。
▶①仮受付(郵送・投函・窓口で書類を預かる)※この時点では県証紙を貼らない
▶②内容確認
▶③連絡・補正
▶④本受付(来庁して愛知県証紙またはキャッシュレス決済で手数料を納付)
▶⑤審査・補正(本受付後の審査期間は概ね1か月)
▶⑥許可
【実務上のポイント】
注意したいのは、期限の基準になるのが「仮受付」ではなく「本受付」だという点です。愛知県のFAQでも、更新と業種追加をまとめて申請する場合は「許可の有効期限の30日前までに本受付する必要がある」とされています。
補正のやり取りに数週間かかることも珍しくありません。満了日の3か月前に仮受付を済ませておくくらいの余裕を持ってください。
提出先は主たる営業所の所在地によって分かれます。名古屋市内なら愛知県都市・交通局都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室、それ以外は主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所です(稲沢市・一宮市・江南市・犬山市・岩倉市・丹羽郡は一宮建設事務所)。
更新申請をしたものの、満了日までに許可・不許可の処分が出ないことがあります。この場合について、建設業法第3条第4項は次のように定めています。
更新の申請があった場合において、許可の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
つまり、期限内にきちんと申請していれば、審査中に満了日が来ても許可は有効なままです。この期間中も許可が必要な工事を請け負うことができます。ただしこれは「満了日までに申請がされていること」が大前提である点を忘れないでください。
愛知県のFAQでは、許可の有効期間を経過したときは更新の許可申請はできず、改めて建設業の許可を受けようとするときは新規の許可申請になるとされています。
失効した場合に起きることを整理します。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 許可が必要な工事を請け負えない | 軽微な建設工事(建築一式は1件1,500万円未満又は木造住宅で延べ面積150㎡未満、それ以外は1件500万円未満。いずれも消費税等を含む)しか請け負えなくなります |
| 手数料が9万円に | 更新の5万円ではなく、新規申請の9万円が必要になります |
| 財産要件の確認が復活 | 「直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績」による省略ができず、改めて財産的基礎又は金銭的信用の確認が行われます |
| 許可番号・許可年月日が変わる | 新規の許可として扱われるため、経営事項審査や入札参加資格にも影響が及ぶ可能性があります |
| 許可が下りるまで空白期間 | 愛知県では本受付後の審査期間が概ね1か月。書類の準備期間を含めるとさらに時間がかかります |
出典:愛知県「建設業許可に関するよくある質問と回答」A3-2、A3-6/建設業法施行令第1条の2
【実務上のポイント】
失効してしまったときに真っ先に確認すべきは、「いま進行中・受注予定の工事が軽微な建設工事の範囲に収まるか」です。収まらない工事を無許可で請け負うと建設業法違反になります。
また、失効の原因が「決算変更届の積み残し」である場合、新規申請の前にその整理も必要になることがあります。気づいた時点でできるだけ早く動いてください。
更新のタイミングは、許可の内容を整理する好機でもあります。
▶業種追加+更新/新しい業種を増やしつつ、許可日を揃えられる(10万円)
▶般・特新規+更新/一般から特定へ移行しつつ、許可日を揃えられる(14万円)
▶般・特新規+業種追加+更新/3つをまとめて(19万円)
▶使わなくなった業種は一部廃業の届出で整理できる
業種追加などで許可日が分かれてしまっている場合、この機会に「許可の有効期間の調整」(許可の一本化)を使って許可日を一つに統一しておくと、次回以降の更新が1回で済みます。愛知県のFAQでは、許可業種の追加によって業種ごとに満了日が異なると、更新手続を失念したり、更新に係る申請手数料がその都度必要になるため、それらを解決するための制度と説明されています。
ただし、更新を含む申請は許可期間満了の日の30日前までに本受付する必要があり、30日前以降になる場合は更新と業種追加を別の申請に分けることになります。さらに、許可期間満了まで50日を切った「更新を伴う業種追加等」の申請は窓口受付です。組み合わせを考えるなら早めの着手が前提になります。
業種追加の要件や必要書類は、業種追加を解説した記事で、一般から特定への移行については般・特新規を解説した記事でそれぞれ詳しく説明しています。
令和5年1月10日から、国土交通省が提供する建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)により、建設業許可の更新申請も電子申請ができるようになっています。
▶利用にはデジタル庁が所管するGビズIDの取得が必要
▶電子申請システムで作成できない添付書類・確認資料は、PDFや画像データにして添付する(紙申請で原本提出・提示を求めている書類もデータ添付でよい)
▶手数料はPay-easyによる電子納付、愛知県収入証紙、窓口でのキャッシュレス決済のいずれか
▶電子申請の標準処理期間は、書類の到達日から38日間(県の休日は含まない)
愛知県では、許可の有効期限の30日前までに提出できない場合、電子申請システムでの受付を行いません。その場合は紙による申請とし、必要書類をそろえたうえで速やかに管轄の建設業窓口へ持参することになります。
「電子申請だから直前でも大丈夫」ということはありません。
出典:愛知県「愛知県知事の建設業許可の電子申請について」
| 時期 | やること |
|---|---|
| 満了日の6か月前 | 許可通知書で満了日を確認。事業年度終了届の提出状況、変更届の積み残しを棚卸しする |
| 満了日の4~5か月前 | 未提出の事業年度終了届・変更届を提出。経営業務の管理責任者・営業所技術者等が現在も在籍・常勤か確認する |
| 満了日の3か月前 | 受付開始。証明書類(後見等登記事項証明書・身元証明書は3か月以内)を取得し、仮受付へ |
| 満了日の1~2か月前 | 補正対応。本受付(手数料の納付)を済ませる |
| 満了日の30日前 | 申請期限の目安。更新を含む組み合わせ申請はこの日までに本受付が必要 |
【実務上のポイント】
後見等登記事項証明書と身元(身分)証明書は申請時3か月以内のものが必要です。早く取りすぎると期限切れになり、取り直しになります。証明書類の取得は、書類作成の目処が立ってからにしてください。
できません。愛知県のFAQでも、許可の有効期間を経過したときは更新の許可申請はできず、改めて許可を受けようとするときは新規の許可申請になるとされています。手数料も9万円になり、財産要件の確認も改めて行われます。
必要ありません(愛知県FAQ A6-3)。ただし、特例浄化槽工事業の登録や解体工事業登録を受けている場合は、許可の状況に応じた手続きが別途必要になることがあります。心当たりがある場合は、それぞれの登録の所管課に確認してください。
足りません。愛知県のFAQでは、更新は「既に受けている建設業の許可を、そのままの内容で申請する場合」の取扱いとなるため、更新申請の前に変更届を提出しておくことが必要とされています。変更届と申請書は別の手続きとして扱われるため、両方に添付が求められる証明書はそれぞれに必要です。
必要ありません(愛知県FAQ A3-12)。営業所の確認資料が必要になるのは、新規申請、許可換え新規申請、営業所の所在地変更、営業所の新設のように、営業所の新設や変更を伴う場合です。
▶建設業許可の有効期間は5年。許可のあった日から5年目の応当日の前日まで(満了日が閉庁日でも延びない)
▶更新申請は原則、満了日の3か月前から30日前まで(愛知県)
▶30日を切ると窓口受付になり、電子申請は使えない
▶更新申請には、前回申請から更新申請までの間の事業年度終了届が提出されていることが必要
▶変更届の未提出は更新申請書での代替不可。先に変更届を出す
▶一般建設業は更新時の財産要件確認が省略されるが、特定建設業は毎回確認される
▶期限内に申請していれば、審査中に満了日が来ても従前の許可は有効(法第3条第4項)
▶満了日を過ぎたら更新不可。新規申請となり手数料9万円、財産要件の確認も復活する
▶更新と同時に業種追加・般・特新規を行い、許可日を一本化できる
更新は、書類の難易度そのものより「日々の届出が積み残しになっていないか」で難易度が決まる手続きです。満了日の半年前に一度、届出状況と要件の充足を棚卸ししておくことをおすすめします。
決算変更届の積み残しがある状態からの更新も対応しています。まずは満了日と届出状況の確認からご相談ください。
「決算変更届を何年か出していない」「満了日が近いが間に合うか」という確認だけでも構いません。LINEなら夜間・土日も対応します。
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