

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
「せっかく建設業許可を取ったのだから、営業所に格好いい許可票を掲げたい」——このように考えて、円形にしたり会社のロゴを入れたりしたくなる方がいらっしゃいます。
しかし許可票の様式とサイズは法令で決まっており、自由にデザインすることはできません。
一方で、材質については何の規定もありません。この記事では、許可票のルールを条文にもとづいて整理します。
最初に全体像を確認します。
| 様式 | 法令で決められています(変更不可) |
| サイズ | 営業所用と現場用で異なります(下回ると違反) |
| 記載事項 | 法令で決められています |
| 材質 | 規定なし(紙でもプラスチックでも可) |
「金看板」と呼ばれるため金属製でなければならないと思われがちですが、材質については建設業法に何の規定もありません。紙に印刷したものでも法令上は問題ないということです。
建設業の許可票とは、許可を受けた業者が一定の事項を記載し、営業所や工事現場に掲示しなければならない標識のことです。
掲示することで、その営業や施工が建設業法の許可を受けた適正な業者によって行われていることを対外的に示す役割を持ちます。だからこそ、公衆の見やすい場所に掲げることが義務づけられています。
建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
条文の括弧書きに注目してください。現場に掲示する義務があるのは発注者から直接請け負った工事、つまり元請の場合に限られます。
かつては現場で施工するすべての建設業者に掲示義務がありましたが、令和2年10月1日施行の改正により、元請のみが対象となりました。
【実務上のポイント】
古い解説記事やテンプレートには、下請も現場に掲示が必要という前提のものが残っています。官公庁が公開している資料でも、改正前の記述のまま更新されていないものが見受けられます。
現在は下請業者に現場での掲示義務はありません。ただし営業所への掲示義務は元請・下請を問わず全ての建設業者にありますので、混同しないようご注意ください。
記載すべき事項は建設業法施行規則第25条で定められています。
法第40条の規定により建設業者が掲げる標識の記載事項は、店舗にあつては第1号から第4号までに掲げる事項、建設工事の現場にあつては第1号から第5号までに掲げる事項とする。
一 一般建設業又は特定建設業の別
二 許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業
三 商号又は名称
四 代表者の氏名
五 主任技術者又は監理技術者の氏名
2 法第40条の規定により建設業者の掲げる標識は店舗にあつては別記様式第28号、建設工事の現場にあつては別記様式第29号による。
店舗用と現場用で記載事項が1つ違います。整理すると次のとおりです。
| 記載事項 | 店舗(営業所) | 工事現場 |
|---|---|---|
| 一般建設業又は特定建設業の別 | ○ | ○ |
| 許可年月日・許可番号・許可を受けた建設業 | ○ | ○ |
| 商号又は名称 | ○ | ○ |
| 代表者の氏名 | ○ | ○ |
| 主任技術者又は監理技術者の氏名 | — | ○ |
| 使用する様式 | 第28号 | 第29号 |
営業所用の許可票をそのまま現場に持ち込むことはできません。技術者名の欄がないためです。
現場用の様式第29号には、上記に加えて「専任の有無」「資格名」「資格者証交付番号」の欄があります。専任を要する監理技術者を配置する場合などに記載が必要です。市販品を購入する際は、これらの欄が備わっているかご確認ください。
最も間違えやすいのがこの点です。営業所用と現場用は、法定サイズが異なります。
| 営業所(店舗)用 | 工事現場用 | |
|---|---|---|
| 様式 | 別記様式第28号 | 別記様式第29号 |
| サイズ | 縦35cm以上×横40cm以上 | 縦25cm以上×横35cm以上 |
現場用は平成23年12月の改正で縮小され、営業所用より小さいサイズが認められるようになりました。改正前は40cm×40cm以上でしたので、古い情報を参照すると過大なサイズで作ることになります。逆に、現場用のサイズで営業所に掲示すると基準を下回ります。
記載すべき事項がすべて書かれていても、法定の大きさを満たしていない許可票は建設業法違反となります。「小さくても内容は同じ」という理屈は通りません。なおA4サイズ(21cm×29.7cm)は営業所用・現場用のいずれの基準も下回りますので、自作される場合はA3などで出力してください。
様式が法定されている以上、レイアウトを変えることは認められません。
▶円形・楕円形などの形状/認められません
▶会社のロゴや写真の挿入/認められません
▶イラストや装飾の追加/認められません
▶記載項目の並べ替えや省略/認められません
▶材質(金属・木・アクリル・紙など)/自由です
▶枠外に社名の看板を別途掲げること/許可票そのものではないため可能です
デザインにこだわりたい場合は、許可票は法定の様式どおりに作り、その周辺で社名看板などを工夫するのが現実的な方法です。
条文にあるとおり「公衆の見やすい場所」が要件です。具体的な場所までは定められていませんが、実務では次のように扱われます。
▶営業所/出入口付近、来客が目にする受付・事務所内の壁面など
▶工事現場/道路に面した仮囲い、現場事務所の外壁など
営業所への掲示は、建設業許可の営業所要件を確認する際の写真撮影でも確認されます。新規申請の段階で許可票はまだありませんが、更新や変更の際に指摘を受けることがあります。取得後は早めに準備しておくのが安全です。
令和4年1月27日付の国土交通省通知(国不建第445号)により、標識の掲示は書面に限られないことが明確化されました。デジタルサイネージなどのICT機器を活用した掲示でも、一定の要件を満たせば掲示義務を果たすものとして扱われます。
ただし表示する内容は法定の様式によることに変わりはありません。下請業者の入退場が多い現場で、貼り替えの手間を減らす手段として活用されています。
標識を掲げない場合、建設業法第55条により10万円以下の過料の対象となります。
金額としては大きくありませんが、問題は行政指導や監督処分のきっかけになりやすい点です。立入調査で掲示がないことが判明すれば、他の事項についても確認が及びます。
許可票は一度作れば終わりではありません。記載事項に変更があれば、作り直しが必要です。
▶更新をした/許可年月日が変わるため書き換えが必要です
▶業種を追加した/許可を受けた建設業の欄に追加します
▶代表者が変わった/代表者の氏名を書き換えます
▶商号・名称を変更した/商号又は名称の欄を書き換えます
▶一般から特定へ変更した/区分の欄を書き換えます
【実務上のポイント】
最も見落とされやすいのが更新後の許可年月日です。許可番号は更新しても変わりませんが、許可年月日は新しい日付になります。
「番号が同じだからそのままでよい」と考えて古い許可票を掲げ続けているケースを実際に見かけます。更新のたびに確認する習慣をつけてください。当事務所にご依頼いただいた方には、更新時に許可票の書き換えもあわせてご案内しています。
▶建設業法(e-Gov法令検索)/第40条・第55条
▶建設業法施行規則(e-Gov法令検索)/第25条・別記様式第28号・第29号
▶建設業許可申請手引・様式ダウンロード(愛知県)/愛知県知事許可の申請手続
法令は改正されます。この記事は執筆時点の内容ですが、実際の手続きの際は必ず上記の一次資料でご確認ください。判断に迷われる場合は当事務所にご相談いただければ、最新の取扱いをふまえてお答えします。
▶様式・記載事項・サイズは法定。デザインの変更はできません
▶営業所用は縦35cm以上×横40cm以上、現場用は縦25cm以上×横35cm以上
▶A4サイズはいずれの基準も下回ります。材質の規定はありません
▶営業所は全業者に掲示義務あり。現場は元請のみ(令和2年10月改正)
▶掲示しないと10万円以下の過料。更新後は許可年月日の書き換えを
許可票は、取得した許可を対外的に示す唯一の表示です。せっかく取った許可を正しく見せるためにも、様式とサイズを確認したうえで準備してください。
許可取得後の手続きまで含めてサポートします。更新期限は無料で通知しています。
「この許可票で問題ないか」という確認だけでも構いません。写真を送っていただければ、その場でお答えできることもあります。LINEなら夜間・土日も対応します。
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