

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
一般建設業許可の要件としてよく知られている「500万円」。ただ、実際につまずくのは金額そのものではなく、どの書類でそれを証明するかのほうです。
「通帳のコピーではダメなのか」「複数の口座を合わせて500万円でもいいのか」——ここを取り違えると、申請直前に取り直しになります。
この記事では、愛知県知事許可を前提に、財産的基礎の3つのルートと、残高証明書・融資証明書の細かいルールを整理します。
一般建設業許可の財産的基礎又は金銭的信用の要件は、次のいずれかに該当すれば満たされます。すべてを満たす必要はありません。
▶①自己資本の額が500万円以上であること
▶②500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められること
▶③許可申請直前の5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること
実務では、まず①の決算内容で判定し、届かない場合に②の証明書で補う、という順序になります。
自己資本の額は、申請日の直前の決算の財務諸表(様式第15号・様式第18号)で確認されます。
▶法人/貸借対照表における純資産合計の額
▶個人/期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益保留性の引当金及び準備金の額を加えた額
ここが500万円以上であれば、それ以上の証明書は必要ありません。直前決算の純資産合計が500万円未満の場合に、②の資金調達能力の確認へ進みます。
【実務上のポイント】
資本金ではなく純資産合計で見ます。資本金500万円で設立していても、累積の赤字で純資産が目減りしていれば要件を満たしません。逆に資本金が少額でも、利益が積み上がっていれば問題ありません。
「500万円以上の資金を調達する能力」とは、担保とすべき不動産等を有していること等により、金融機関等から500万円以上の資金について融資を受けられる能力をいいます。確認は次のどちらかで行います。
| 確認資料 | |
|---|---|
| a |
金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書 |
| b |
金融機関発行の500万円以上の融資証明書 |
愛知県の手引きには、この証明書についていくつか条件が付されています。ここを外すと取り直しになります。
▶取得先/主要取引金融機関名(様式第20号の3)に記載のある金融機関から取得すること
▶2枚以上になる場合/残高証明書が2枚以上になる場合は、基準日が同じものでなければならない
▶合算/残高証明書と融資証明書の合算は認められない
▶融資証明書の意味/融資残高の証明ではなく、融資可能額の証明であること
出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」
【実務上のポイント】
複数の口座を合わせて500万円にする場合は、各行の残高証明書の基準日をそろえて同じ日で取得してください。窓口によって発行までの日数が違うため、先に一番時間のかかる金融機関に基準日を合わせて依頼するのが現実的です。
また、4週間という期限は初日算入で数えます。証明書を早く取りすぎて申請までに期限切れ、というのが一番もったいないパターンです。
許可申請直前の5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある場合は、残高証明書等の提出は不要です。
▶直前5年間、許可を受けて継続営業していれば証明書は不要
▶この5年間には、許可換え新規(申請区分「2」)の場合の従前の許可期間も含まれる
つまり、最初の許可取得から5年を無事に走り切れば、以後の更新では資金面の確認が外れます。他県から愛知県に本店を移して許可換え新規を行う場合も、前の許可の期間が通算されます。
会社を設立したばかりでまだ決算を迎えていない場合でも、許可申請の際には必ず財産的基礎等の要件が確認されます。この場合は創業時の財務諸表で要件を満たすかどうかが判断されます。
個人事業で事業開始後に決算期が未到来の場合は、自己資本による判断ができないため、②の資金調達能力による判断が必要となります。実質的に残高証明書か融資証明書を用意することになります。
申請者が個人事業主で特定建設業を新規申請する場合には、純資産合計に示された金額以上の預金残高証明書(基準日が4週間以内。初日算入。)もしくは融資証明書(発行日が4週間以内。初日算入。)が必要となります。
出典:愛知県「建設業許可申請の手引(申請手続編)」
決算内容で要件を満たせない場合に許可がどうなるかについては、別記事で解説しています。
▶一般建設業の財産的基礎は、自己資本500万円・資金調達能力・5年の営業実績のいずれか1つでよい
▶自己資本は資本金ではなく直前決算の純資産合計で判定される
▶残高証明書は基準日、融資証明書は発行日が申請直前4週間以内(初日算入)
▶証明書は主要取引金融機関名に記載のある金融機関から取得する
▶残高証明書が2枚以上になる場合は基準日を統一し、融資証明書との合算はできない
▶融資証明書は融資残高ではなく融資可能額の証明
▶許可を受けて5年間継続営業していれば証明書は不要(許可換え新規の従前期間も通算)
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