許可替え新規(許可換え新規)とは?愛知県で必要になる3つのパターンと手続

許可替え新規(許可換え新規)とは?愛知県で必要になる3つのパターンと手続

許可換え新規(許可替え新規)は、建設業法第9条第1項に該当して許可行政庁が変わるときの新規申請です。愛知県知事許可9万円・大臣許可の登録免許税15万円といった費用、従前の許可の扱い、許可番号と有効期間の変化を解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「岐阜県の許可を持っているが、本店を愛知県に移すことになった」「愛知県の会社だが、三重県にも営業所を出したい」——このとき必要になるのが許可換え新規です。
名前に「新規」と付いているとおり、手続は新規申請とほぼ同じで、手数料も9万円かかります。更新のような簡易な手続ではありません。


この記事では、許可換え新規(許可替え新規)が必要になる3つのパターン、従前の許可がどうなるか、許可番号と有効期間の扱い、そして愛知県で申請するときの実務上の注意点を整理します。



正式名称は「許可換え新規」    NAME

検索では「許可替え新規」と表記されることも多いのですが、建設業法および申請様式上の正式な区分名は「許可換え新規」(申請区分2)です。愛知県の手引でも国土交通省の資料でも「換」の字が使われています。申請書に記入する際は「許可換え新規」で覚えておいてください。


【実務上のポイント】
「許可換え」という言葉から、許可を横にスライドさせるだけの簡単な手続だと受け取られがちです。実際は新しい許可行政庁に対して、あらためて許可要件を満たしていることを証明し直す手続です。愛知県の手引でも申請区分1(新規)と2(許可換え新規)は同じ列にまとめられており、提出書類はほぼ共通です。


許可換え新規が必要になる3つのパターン    PATTERN

建設業法第9条第1項は、許可換えとなる場合を次の3つに限定しています。


建設業法第9条第1項各号 許可の移り方
一 国土交通大臣の許可を受けた者が、一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなったとき 大臣許可 → 知事許可
二 都道府県知事の許可を受けた者が、当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなったとき 他県知事許可 → 愛知県知事許可
三 都道府県知事の許可を受けた者が、二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなったとき 知事許可 → 大臣許可


愛知県の手引では、申請区分2「許可換え新規」は「愛知県以外の許可行政庁から現在、有効な許可を受けている場合」と説明されています。


▶【例1】岐阜県知事許可の会社が、岐阜県の営業所を廃止して愛知県内に営業所を設置 → 愛知県知事へ許可換え新規
▶【例2】愛知県知事許可の会社が、静岡県にも営業所を新設 → 中部地方整備局(国土交通大臣)へ許可換え新規
▶【例3】大臣許可の会社が他県の営業所を全て廃止し、愛知県内の営業所だけになった → 愛知県知事へ許可換え新規


許可換え新規にならないケース

同じ都道府県内での営業所の移転は許可換え新規ではありません。愛知県内で本店を稲沢市から一宮市へ移すだけであれば、許可行政庁は愛知県知事のままなので、変更届出書(様式第22号の2)による届出(30日以内)で足ります。
また、事業譲渡・合併・分割・相続によって建設業者としての地位を引き継ぐ場合は「許可換え新規」ではなく認可申請(承継)という別の手続になります。認可申請には手数料がかかりません。

従前の許可はどうなるのか    EFFECT

ここが許可換え新規で最も誤解の多い部分です。


▶新しい許可行政庁の許可を受けたときに、従前の許可はその効力を失う(建設業法第9条第1項)
▶許可換え新規の申請中は、従前の許可がなお効力を有する(同条第2項が法第3条第4項を準用)


つまり、従前の許可は「申請したとき」ではなく「新しい許可が出たとき」に失効します。両方の許可が同時に存在する期間はありません。


建設業許可事務ガイドライン【第9条関係】4では、許可換え新規の申請に基づく審査の結果、従前の許可の有効期間の満了後に不許可処分とされた場合であっても、当該不許可処分がされるまでの間は法第9条第2項の規定により従前の許可はなお効力を有するものとされる、と明記されています。さらにその場合、有効期間満了後から不許可処分までの間に締結された請負契約に係る建設工事については、従前の許可が効力を失った後も法第29条の3第1項の規定により継続して施工することができます。


【実務上のポイント】
とはいえ、これは「期限ギリギリでも大丈夫」という意味ではありません。従前の許可の有効期間が満了する前に、適法に許可換え新規の申請を済ませていることが前提です。有効期間が切れてから申請したのでは、許可のない空白期間が生じます。移転や営業所新設の話が出た段階で、現在の許可の有効期限を必ず確認してください。


手数料は新規と同じ    FEE

許可換え新規の手数料は、更新(5万円)ではなく新規と同額です。


許可換え先 一般又は特定の一方のみ 一般と特定の両方
愛知県知事許可 許可手数料 90,000円 許可手数料 180,000円

国土交通大臣許可
(中部地方整備局)

登録免許税 150,000円 登録免許税 300,000円



愛知県知事許可の場合は愛知県収入証紙、窓口でのキャッシュレス決済、又は電子申請でのPay-easyで納付します。大臣許可へ換える場合は登録免許税となり、名古屋中税務署(中部地方整備局を管轄する税務署)へ納入し、領収書の原本を許可申請書の別紙3に貼り付けて提出します。


必要書類は新規とほぼ同じ    DOCUMENTS

愛知県の手引では、提出書類一覧の申請区分欄で「1(新規)」と「2(許可換え新規)」が同じ列にまとめられています。つまり、経営業務の管理責任者の証明も、営業所技術者等の証明も、財務諸表も、登記されていないことの証明書や身元(身分)証明書も、新規と同じように一式そろえる必要があります


許可換え新規に固有の書類が1点あります。


▶申請時点で有効な他行政庁の許可書の写し(許可換え新規の場合に添付)


なお、国土交通省の建設業許可事務ガイドライン【第5条及び第6条関係】4(3)では、許可換え新規を申請しようとする者は、工事経歴書(様式第2号)、直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面(様式第3号)、使用人数を記載した書面(様式第4号)の提出を省略できるとされています。ただしこのガイドラインは国土交通大臣に係る許可事務の取扱いを定めたものであり、愛知県の手引では申請区分1・2について様式第2号・第3号・第4号が「必要添付書類(省略不可)」として整理されています。愛知県知事許可へ換える場合は、手引の記載に沿って作成しておくのが確実です。


【実務上のポイント】
許可換え新規には、書類上ありがたい取扱いがあります。愛知県の手引では、一般建設業の財産的基礎の要件のうち「直前5年間許可を受けて継続して営業した実績」には、許可換え新規(申請区分2)の場合の従前許可期間が含まれるとされています。従前の許可を5年以上継続して受けていた業者であれば、500万円の預金残高証明書や融資証明書を用意しなくても財産的基礎の要件を満たせる可能性があります。



許可番号・許可年月日・有効期間はどうなるか    NUMBER

許可換え新規では、許可行政庁が変わるため許可番号も新しくなります。建設業許可申請書(様式第1号)の記載要領でも、「許可番号」及び「許可年月日」の欄は、申請時において既に許可を受けている者について記入するものの、許可換え新規を申請する者は除くとされています。従前の許可番号は、様式第1号の項番15「許可換えの区分」・項番16「旧許可番号」の欄に記入します。


▶許可番号/新しい許可行政庁のもとで新たに付与される
▶許可年月日/新しい許可が出た日
▶有効期間/新しい許可のあった日から5年目の対応する日の前日まで


更新のように従前の有効期間を引き継ぐわけではないので、許可換え新規をしたタイミングで、以後の更新時期が変わります。複数業種を持っている場合は、更新サイクルの管理を組み直してください。


経営事項審査の「営業年数」はリセットされません

許可番号が変わると経営事項審査の営業年数がゼロに戻るのでは、と心配されることがあります。経営事項審査における「営業年数」は、審査基準日までの建設業の営業年数(建設業の許可又は登録を受けて営業を行っていた年数をいい、休業等の期間を除く)で計算されます。許可行政庁が変わったことだけを理由に営業年数が失われるものではありません。
ただし、許可番号の変更は入札参加資格や各種登録に影響することがあります。公共工事を受注している場合は、発注機関への届出の要否を必ず確認してください。

愛知県で許可換え新規を申請するときの流れ    FLOW

愛知県では窓口での対面審査を行っておらず、郵送・投函・窓口での仮受付(預かり)からスタートします。


▶①仮受付(愛知県証紙は貼らずに提出)→②内容確認→③連絡・補正→④本受付(証紙納付のため来庁)→⑤審査→⑥許可
▶標準処理期間/紙申請は本受付後23日、電子申請(JCIP)は書類の到達日から38日間(いずれも県の休日を含まない)
▶提出先/主たる営業所の所在地が名古屋市内なら県庁の建設業・不動産業室、それ以外は管轄の建設事務所
▶提出部数/正本1部及び副本1部(副本は写し可)


知事許可から大臣許可へ換える場合は、申請先が中部地方整備局(名古屋合同庁舎第2号館7階)になります。中部地方整備局では、申請から許可等の処分がなされるまでに要する期間はおおむね90日程度とされています。知事許可より時間がかかるため、他県への営業所新設のスケジュールはこれを見込んで組む必要があります。


愛知県知事許可の標準処理期間と逆算スケジュールについては、こちらの記事で詳しく解説しています

Q. 他県に営業所を1つ出すだけでも許可換えが必要ですか

必要です。建設業法上の「営業所」に該当する事務所を他の都道府県に設けた時点で、二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなり、国土交通大臣許可への許可換え新規が必要になります。なお、許可を受けた業種について軽微な建設工事のみを請け負う営業所であっても、法に規定する営業所に該当します。一方で、単に登記上の本店であるだけで建設業の営業を行っていない店舗などは、営業所に当たりません。

Q. 許可換え新規と同時に業種追加はできますか

許可換え新規は新しい許可行政庁に対する新規の許可申請なので、その申請で許可を受けようとする業種を記載することになります。ただし、要件を満たすかどうかは業種ごとに判断されるため、追加したい業種の営業所技術者等が確保できているかを事前に確認する必要があります。個別の事情によって取扱いが変わるため、申請前に許可行政庁へ相談してください。

Q. 手数料は戻ってきますか

戻りません。愛知県知事許可については、愛知県手数料条例第6条により、申請を取り下げた場合や不許可となった場合でも還付はされません。大臣許可の登録免許税については、許可申請の取下げがあった場合又は許可申請が却下された場合に還付の手続が定められています(登録免許税の還付願書の提出が必要)。


まとめ    SUMMARY

▶正式名称は「許可換え新規」。許可行政庁が変わるときの新規申請
▶該当するのは建設業法第9条第1項の3つの場合(大臣→知事、他県知事→愛知県知事、知事→大臣)
▶従前の許可は、新しい許可を受けたときに効力を失う(法第9条第1項)
▶申請中は従前の許可がなお効力を有する(法第9条第2項が法第3条第4項を準用)
▶手数料は愛知県知事許可9万円、大臣許可は登録免許税15万円。いずれも新規と同額
▶必要書類は新規とほぼ同じ。加えて有効な他行政庁の許可書の写しを添付
▶許可番号・許可年月日・有効期間はすべて新しくなる
▶財産的基礎の「直前5年間の営業実績」には従前許可期間を含められる(愛知県の手引)
▶同一県内の移転は許可換えではなく変更届。承継は認可申請という別手続


これから初めて許可を取る場合の手続については、建設業許可の新規申請で必要な要件と書類をまとめた記事をご覧ください。

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