

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
「経審の点数」として発注者が見ているのが、総合評定値(P点)です。多くの発注機関が入札参加資格の等級区分にこの数値を使います。
P点は5つの評点にそれぞれウエイトを掛けて合計した数値で、業種ごとに算出されます。何がどれだけ効くのかを理解しておくと、翌期に向けた打ち手が具体的になります。
この記事では、P点の計算式と、X1・X2・Y・Z・Wそれぞれの中身を整理します。
P=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W
※評点に小数点以下の端数がある場合は切り捨てます。
| 記号 | 内容 | ウエイト | 審査機関 |
|---|---|---|---|
| X1 | 工事種類別年間平均完成工事高 | 0.25 | 愛知県 |
| X2 | 自己資本額・利払前税引前償却前利益 | 0.15 | 愛知県 |
| Y | 経営状況(8つの財務指標) | 0.20 | 登録経営状況分析機関 |
| Z | 技術職員数・元請完成工事高 | 0.25 | 愛知県 |
| W | その他の審査項目(社会性等) | 0.15 | 愛知県 |
X1(完成工事高)とZ(技術力)で0.50、つまり全体の半分を占めます。会社の規模がP点に強く反映される構造です。
【実務上のポイント】
P点は業種ごとに算出されます。同じ会社でも、土木一式と管工事でP点は異なります。入札参加資格の等級は業種ごとに判定されるため、「どの業種のP点を上げたいのか」を明確にしてから対策を考えてください。
業種ごとの年間平均完成工事高を、評点算出テーブルに当てはめて求めます。
| 年間平均完成工事高 | X1評点 |
|---|---|
| 1,000億円以上 | 2,309(上限) |
| 1,000万円未満 | 131×(年間平均完成工事高)÷10,000+397 |
区分は1,000万円未満から1,000億円以上まで細かく設定されており、金額帯ごとに異なる算式が定められています。
完成工事高は、2年平均と3年平均のいずれかを選択できます。
▶完成工事高が伸びている会社/2年平均のほうが有利になることが多い
▶完成工事高が落ちている会社/3年平均のほうが有利になることが多い
▶選択した年数に応じて、持参する決算関係書類・契約関係書類の年数も変わる
【実務上のポイント】
選択によって必要書類の年数が変わるため、準備を始める前に決めておく必要があります。後から変更すると、契約関係書類や消費税納税証明書を追加で集め直すことになります。
どちらが有利かは実際に計算してみないと分かりません。過去3期の業種別完成工事高を並べたうえで判断してください。
一定の場合、ある業種の完成工事高を別の業種に移行して申請することができます。この場合は工事種類別完成工事高付表を添付します。
完成工事高の移行を希望する場合、移行元の業種は経営規模等評価対象建設業として申請することができません。移行元の業種でもP点が必要な場合は、移行は使えません。
また、移行をする場合は移行元の業種についても契約関係書類の確認が行われます。
X2は2つの評点の平均です。
▶X2=(X21+X22)÷2
▶X21/自己資本額(基準決算か2期平均かを選択できる)
▶X22/利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却実施額(2期平均)
X1と違い、X2は業種によって変わりません。会社全体の数値で決まるため、どの業種のP点にも同じ評点が使われます。
登録経営状況分析機関が算出する財務内容の点数です。8つの指標から経営状況点数(A)を求め、Y=167.3×A+583で評点になります。
Yも会社全体の数値であり、業種によって変わりません。指標の内訳は経営状況分析とはの記事で解説しています。
Zは技術職員数(Z1)と元請完成工事高(Z2)から求めます。
Z=0.8×Z1+0.2×Z2
Z1の比重が8割です。技術職員の構成がZ評点をほぼ決めることになります。
Z1は、技術職員を資格区分ごとに点数化した「技術職員数値」を算出し、テーブルに当てはめます。
| 区分 | 対象者 | 1人あたりの数値 |
|---|---|---|
| G1 | 一級監理受講者 | 6 |
| G2 | 一級技術者(G1以外) | 5 |
| G3 | 監理技術者補佐(G1・G2以外) | 4 |
| G4 | 基幹技能者等(G1〜G3以外) | 3 |
| G5 | 二級技術者等(G1〜G4以外) | 2 |
| G6 | その他技術者 | 1 |
技術職員数値=6×G1+5×G2+4×G3+3×G4+2×G5+1×G6
【実務上のポイント】
同じ1人でも、一級で監理技術者講習を受講していれば6、その他技術者なら1と6倍の差があります。資格取得の支援や監理技術者講習の受講管理は、Z評点に直結する取り組みです。
なお、1人の技術者を計上できるのは原則として2業種までです。名簿の作成方法は技術職員名簿の書き方の記事で解説しています。監理技術者補佐については監理技術者補佐と特例監理技術者の記事もご覧ください。
Z2は業種ごとの年間平均元請完成工事高をテーブルに当てはめて求めます。元請の実績が評価される項目で、下請中心の会社は点が伸びにくい構造になっています。
Wは8つの項目の合計に、一定の倍率を掛けて評点にします。
▶W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8)×10×175÷200
| 記号 | 審査項目 |
|---|---|
| W1 | 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況 |
| W2 | 建設業の営業年数 |
| W3 | 防災活動への貢献の状況 |
| W4 | 法令遵守の状況 |
| W5 | 建設業の経理に関する状況 |
| W6 | 研究開発の状況 |
| W7 | 建設機械の保有状況 |
| W8 | 国又は国際標準化機構が定めた規格による登録の状況 |
Wも会社全体の数値で、業種によって変わりません。1年で最も動かしやすい部分でもあります。具体的な加点項目は経審の点数を上げる方法の記事で解説しています。
なお、令和8年7月1日以降の申請から、社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)の加入状況に関する審査項目は削除されました。改正の詳細は令和8年7月の経審改正のポイントをご覧ください。
「P点が何点あれば入札できるのか」というご質問をよくいただきます。
P点をどう使うか、何点でどの等級になるかは、発注機関ごとに定められています。国・愛知県・各市町村で基準が異なり、同じP点でも等級が変わることがあります。
経審は全国共通の客観的な審査ですが、その結果をどう評価するかは発注者の判断です。目標とする等級がある場合は、申請先の発注機関が公表している格付基準を確認してください。
入札参加資格との関係は経審と入札参加資格の違いの記事で整理しています。
▶P=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W
▶X1(完成工事高)とZ(技術力)で全体の半分を占める
▶P点は業種ごとに算出される。X2・Y・Wは会社全体の数値で業種によらない
▶完成工事高は2年平均・3年平均を選択できる。選択で必要書類の年数も変わる
▶完成工事高を移行する場合、移行元の業種は申請できなくなる
▶X2=(自己資本額の評点+利益額の評点)÷2
▶Z=0.8×Z1+0.2×Z2。技術職員数値は資格区分ごとに6〜1で計算する
▶W=8項目の合計×10×175÷200
▶何点でどの等級になるかは発注機関ごとに異なる
現在のP点の分析と、翌期に向けた対策のご相談もお受けしています。
「2年平均と3年平均のどちらが有利か」といった確認だけでも構いません。LINEなら夜間・土日も対応します。
\『経営事項審査の相談』と送るだけ/