【愛知県の建設業許可】建設業許可の「営業所」の定義|見積りをする拠点は営業所です

【愛知県の建設業許可】建設業許可の「営業所」の定義|見積りをする拠点は営業所です

建設業許可でいう「営業所」とは、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のこと。見積りや入札も締結に係る行為に含まれるため、契約書の押印が本社でも営業所に該当します。判断基準と該当した場合の対応を、愛知県稲沢市の行政書士が解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514) 
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「県外に出張所を置いているが、契約書に押印しているのは本社だ。だから愛知県知事許可のままで問題ない」——このように整理されている事業者は少なくありません。


しかしその出張所で見積書を発行しているのであれば、知事許可では足りない可能性が高いです。国土交通省のガイドラインは、契約書に押印する場所ではなく、見積りや入札を含めた実体的な行為を行っている場所を基準にしているためです。


この記事では、どこからが建設業法上の「営業所」にあたるのかを、判断基準に沿って整理します。



結論:押印の場所は判断基準ではありません    CONCLUSION


▶見積書の発行/営業所に該当する行為です
▶入札への参加/営業所に該当する行為です
▶契約条件の交渉/営業所に該当する行為です
▶契約書への押印が本社であること/該当性を否定する理由になりません
▶「出張所」「連絡所」といった名称/判断に一切影響しません


県外の出張所でこれらを行っている場合、その出張所は建設業法上の営業所に該当し、国土交通大臣許可が必要な状態ということになります。


なお、大臣許可と知事許可の基本的な違いについてはこちらの記事で解説しています。(※大臣許可・知事許可の記事URLに差し替えてください)



根拠となる国土交通省のガイドライン    GUIDELINE


建設業法施行令第1条は「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とだけ定めています。この「常時締結する」の中身を具体化しているのが、国土交通省の建設業許可事務ガイドラインです。


建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】2. 営業所の範囲について

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。



また「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。



なお、許可を受けた業種については軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外においては当該業種について営業することはできない。

短い文章ですが、実務上重要な内容が3つ含まれています。順に見ていきます。


①「締結」は押印だけを指さない


ガイドラインは「請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等」と書いています。狭義の契約締結、つまり押印は、あくまで含まれるもののひとつにすぎません。
見積りを作成して提示する行為も、入札に参加する行為も、契約締結に係る実体的な行為として同列に扱われます。


【実務上のポイント】
「出張所は営業活動と現場管理だけ」と説明されるケースがありますが、営業活動の中身をうかがうと見積書の作成・提示が含まれていることがほとんどです。金額を提示した時点で実体的な行為に踏み込んでいるとお考えください。


②契約書の名義人が誰かは問わない


ガイドラインは「契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない」と明記しています。


つまり契約書に代表取締役名で本社の印を押していても、それだけでは出張所の営業所該当性は否定されません。冒頭の「押印は本社だから大丈夫」という整理が通らないのは、この一文があるためです。


③本店・支店は契約していなくても該当する


意外に見落とされるのが前段です。本店や支店は、そこで契約を締結していなくても、他の営業所に対する指導監督など建設業の営業に実質的に関与しているのであれば営業所に該当します。


たとえば県外の支店で契約を完結させ、本店は経営管理のみという体制であっても、本店が営業方針や見積金額に関与しているのであれば本店も営業所です。


名称は判断に影響しません    NAME


建設業法上の営業所かどうかは実態で判断されます。看板や社内での呼び方は関係ありません。


▶○○支社/実体があれば営業所です
▶○○出張所/実体があれば営業所です
▶○○事務所/実体があれば営業所です
▶○○工場/請負契約に係る行為をしていれば営業所です
▶○○連絡所/同上。名称で回避することはできません


逆に「営業所」という名前を付けていても、そこで請負契約に係る行為を一切行っていないのであれば、建設業法上の営業所には該当しません。


自社の拠点をチェックする    CHECK


県外に拠点をお持ちの場合、次の項目に一つでも当てはまれば営業所に該当する可能性があります。


▶その拠点で見積書を作成し、発注者へ提示している
▶その拠点の担当者が金額や工期を交渉している
▶その拠点名義で入札に参加している
▶その拠点に常駐者がいて、机・電話・什器が備えられている
▶その拠点で契約書を受け取り、内容を確認している
▶その拠点が名刺や会社案内に記載されている


判断が難しいのは「担当者が県外に住んでいて自宅から見積りを送っている」というケースです。事務所としての実体があるかどうかで結論が変わります。実際の運用をうかがった上で判断しますので、迷われたらご相談ください。


営業所に該当しないもの


一方、次のような拠点は営業所にあたりません。


▶資材置場・車庫・作業員詰所のみの拠点
▶特定の工事期間中だけ設置する現場事務所
▶郵便物の受取や電話取次のみを行う場所
▶登記だけ置いていて実際の業務が行われていない場所
▶海外にある支店等


届出をしていない事務所ではできないこと    CAUTION

ガイドラインの最後の一文も、実務では重要です。


許可を受けた業種については、たとえ軽微な建設工事だけを請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外でその業種の営業をすることはできません。「500万円未満の小さい工事だから、届出していない拠点で受注しても構わない」という理解は誤りです。

許可を持たない業者であれば軽微な工事を自由に請け負えますが、許可業者はその業種について、届け出た営業所でのみ営業することになります。許可を取ったことで、かえって制約が生じる場面といえます。


該当してしまった場合の選択肢    SOLUTION

県外の拠点が営業所に該当すると判明した場合、取りうる道は二つです。


①拠点の機能を絞る ②大臣許可へ切り替える
内容 見積り・入札・交渉を本社へ集約し、拠点は現場管理と連絡のみとする 許可換え新規により国土交通大臣許可を取得する
費用 手続費用は不要 登録免許税150,000円+報酬
期間 運用の見直しのみ 審査に約3か月
注意点 実態が伴う必要がある。メールで見積書を送るだけでも該当しうる 各営業所に専任技術者と令3条使用人の常勤が必要


②を選ぶ場合の手続きは「許可換え新規」となり、申請先も愛知県から中部地方整備局に変わります。当事務所では許可換え新規の申請にも対応しています。費用と流れは建設業許可の申請代行ページにまとめていますのでご覧ください。


【実務上のポイント】
②を選ぶ場合、費用や期間よりも人の確保がハードルになります。大臣許可では営業所ごとに専任技術者を常勤させる必要があり、あわせて契約締結権限を委任された者(建設業法施行令第3条に規定する使用人)の届出も求められます。


県外の拠点に技術者を常駐させられるか——ここが現実的な分かれ目です。人員体制が整わないのであれば、①のように機能を絞る選択のほうが無理がありません。判断の前に一度ご相談ください。


まとめ    SUMMARY

▶営業所かどうかは名称ではなく実態で判断される
▶見積り・入札も「請負契約の締結に係る実体的な行為」にあたる
▶契約書の押印が本社であっても該当性は否定されない
▶本店・支店は契約していなくても実質的に関与していれば営業所
▶届出をしていない事務所では、軽微な工事であっても営業できない


県外への展開は、多くの場合まず人が動き、拠点は後から形になっていきます。だからこそ「いつのまにか営業所になっていた」という状態が起こりやすい手続きです。拠点を構える前の段階でご相談いただければ、無理のない形を一緒に設計できます。


初回相談は無料です

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