経営事項審査が必要な会社とは|公共工事を受注するなら経審は必須です【愛知県】

経営事項審査が必要な会社とは|公共工事を受注するなら経審は必須です【愛知県】

経営事項審査(経審)が必要なのは、公共工事を発注者から直接請け負う建設業者です。下請だけの場合や民間工事中心の場合は不要です。金額のライン、発注者の範囲、災害応急工事の例外まで、愛知県の建設業者向けに判定基準を解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


「元請さんに経審を受けているか聞かれた」「公共工事に入りたいが、うちも経審が必要なのか分からない」——経審は、すべての建設業者が受けるものではありません。
結論として、経営事項審査が必要なのは「公共工事を発注者から直接請け負う会社」だけです。下請としてしか公共工事に関わらない場合や、民間工事だけを請け負う場合は、受ける義務はありません。


この記事では、自社が経審を受けるべきかどうかを判定するための基準を、金額・発注者・立場の3つの角度から整理します。



経審が必要かどうかの判定    CHECK

まず、次の3つをすべて満たすかどうかを確認してください。


経審が必要になる3つの条件

①建設業許可を受けている
②国・地方公共団体などが発注する工事を請け負う
③その工事を発注者から「直接」(元請として)請け負う


3つすべてに当てはまる場合、経営事項審査を受けなければなりません(建設業法第27条の23第1項)。1つでも欠ければ、経審を受ける義務はありません。

建設業許可を持っていない事業者は、そもそも軽微な建設工事しか請け負えないため、経審の対象にもなりません。許可の要否から確認したい方は、軽微な建設工事の判定方法をまとめた記事をご覧ください。


発注者が公共機関であること    HACCHUSHA

経審の対象になる「公共工事」の発注者は、次の範囲です。


▶国
▶地方公共団体(愛知県、市町村など)
▶法人税法別表第一に規定する公共法人(愛知県住宅供給公社、愛知県道路公社など)
▶特別の法律により設立された法人等で建設業法施行規則に定められた者(中日本高速道路株式会社など)


【実務上のポイント】
「公共っぽい施設の工事だから公共工事」ではありません。判断基準は誰が発注しているかです。たとえば民間企業が建てる施設が公共的な用途であっても、発注者が民間であれば経審は不要です。逆に、規模が小さくても発注者が市町村であれば対象になります。入札に参加しようとしている案件の発注者を、まず確認してください。


金額のライン    AMOUNT

公共機関が発注する工事でも、金額が小さいものは経審の対象から除かれます。


工事の種類 経審が不要な請負代金の額
建築一式工事 1,500万円未満
その他の工事 500万円未満


この金額は、消費税及び地方消費税を含んだ額で判断します。税抜きで考えると判定を誤ります。


【実務上のポイント】
この金額のラインは、建設業許可が必要になる「軽微な建設工事」の基準(500万円・1,500万円)と数字が同じですが、別の制度の基準です。許可の要否は工事の請負金額で判断し、経審の要否は公共工事の請負金額で判断します。混同しないよう、それぞれの根拠を確認してください。


下請なら経審は不要です    SHITAUKE

経審の義務が生じるのは、発注者から直接請け負う場合です。


公共工事でも下請なら不要

公共工事であっても、元請業者から下請として受注する場合は、経営事項審査を受ける必要はありません。何次下請であっても同じです。
「公共工事の現場に入っているから経審が必要」というわけではないので、自社の立場を確認してください。

ただし、元請業者から「経審の結果通知書を見せてほしい」と求められることはあります。これは義務ではなく、取引先としての信用確認や、共同企業体を組む際の判断材料として求められているケースが多いものです。


災害関係の応急工事の例外    SAIGAI

緊急性が重視される災害関係の応急工事は、経審の対象から除かれています。緊急対応が必要な場面で、審査を受けていないことを理由に施工できないと困るためです。


ただし、通常の災害復旧工事については、経営事項審査を受ける必要があります。「災害に関係する工事だから不要」と広く解釈しないでください。応急対応と、その後の復旧工事は区別されます。



民間工事だけの会社が経審を受けるとどうなるか    MINKAN

経審は、義務がない会社が受けてはいけないものではありません。民間工事中心の会社が任意で受審することもできます。


▶将来的に公共工事への参入を考えている/先に受けておくと、参入したい年度の入札参加資格申請に間に合わせやすい
▶元請や取引先から財務内容の説明を求められることがある/第三者が算定した客観的な数値として示せる
▶自社の財務状況を毎年数値で把握できる/経営状況分析のY点は財務指標そのもの


一方で、申請には手数料と準備の手間がかかります。公共工事に参入する予定がまったくないのであれば、無理に受ける必要はありません。手数料の目安は経営事項審査の手数料の記事で確認してください。


経審を受けるかどうかで決算変更届の書き方が変わります    KESSAN

見落とされがちですが、経審を受けるかどうかによって、毎年提出する決算変更届(事業年度終了届)の工事経歴書の書き方が変わります


【実務上のポイント】
経審を受ける場合、工事経歴書は経審用の記載方法で作成する必要があります。経審を受けない前提で作成した工事経歴書のまま経審に進もうとすると、決算変更届からやり直しになることがあります。
今期から経審を受けると決めたら、決算変更届を作る前にその旨を決めておくことをおすすめします。決算変更届の内容については決算変更届(事業年度終了届)の記事で解説しています。


また、愛知県では事業年度終了届の提出時に経審の予約を申し出る運用になっています。決算変更届と経審は、事実上ひとつの流れとして進めるものだと考えてください。手順は経営事項審査の流れの記事にまとめています。


よくある質問    FAQ

Q. 経審を受ければ公共工事に入札できますか

できません。経審は公共工事を受注するための前提であり、実際に入札に参加するには、発注する国・県・市町村ごとに入札参加資格審査申請を行い、名簿に登載される必要があります。両者の違いは経審と入札参加資格の違いの記事で解説しています。


Q. 経審は毎年受ける必要がありますか

公共工事を継続して受注するのであれば、実質的に毎年必要です。結果通知書の有効期間は審査基準日(決算日)から1年7ヶ月で、決算は毎年来るためです。1年空けると、有効な結果通知書がない期間が生じ、その間は公共工事を受注できません。


Q. 建設業許可がなくても経審は受けられますか

受けられません。経審は建設業許可を受けた建設業者を対象とする制度です。まず建設業許可の取得が必要になります。要件は建設業許可の5つの要件をまとめた記事で確認してください。


Q. 許可を持っている業種すべてで経審を受ける必要がありますか

必要はありません。経審は業種ごとに評点が算出されるため、公共工事を受注したい業種について申請することになります。ただし手数料は業種数に応じて増えるため、受注の見込みがある業種を絞って申請するのが実務的です。


まとめ    SUMMARY

▶経審が必要なのは、公共工事を発注者から直接請け負う許可業者
▶発注者は国・地方公共団体・公共法人等。判断基準は「誰が発注するか」
▶建築一式1,500万円未満、その他500万円未満(いずれも税込)の工事は対象外
▶公共工事でも下請として受注する場合は不要
▶緊急性が重視される災害応急工事は対象外。通常の災害復旧工事は必要
▶民間工事だけの会社も任意で受審できるが、手数料と手間がかかる
▶経審を受けるかどうかで決算変更届の工事経歴書の書き方が変わる
▶経審を受けただけでは入札に参加できない


「うちは経審が必要か」「どの業種で受けるべきか」の整理からご相談いただけます。


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