監理技術者補佐とは?1級技士補で2現場を兼任できる専任特例2号を解説【愛知県の建設業許可】

監理技術者補佐とは?1級技士補で2現場を兼任できる専任特例2号を解説【愛知県の建設業許可】

監理技術者補佐を各現場に専任で配置すれば、同一の監理技術者が2つの工事現場を兼任できます(専任特例2号)。補佐になれるのは当該工種の1級技士補で主任技術者要件を満たす者などです。要件と専任特例1号との違いを行政書士が解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


1級の技術検定に1次検定だけ合格している社員がいる——その社員は「監理技術者補佐」として現場に配置でき、会社の施工体制を大きく変える可能性があります。
結論として、監理技術者補佐を各工事現場に専任で配置すれば、同一の監理技術者が2つの工事現場を兼任できます。これを実務上「専任特例2号」と呼びます。


この記事では、監理技術者補佐になれる人の要件、兼任できる範囲、そして令和6年12月に新設された専任特例1号との使い分けを整理します。



結論:補佐を置けば監理技術者は2現場まで    CONCLUSION

公共性のある重要な建設工事で監理技術者を配置する場合、原則として工事現場ごとの専任が必要です。しかし建設業法第26条第3項ただし書は、監理技術者の職務を補佐する者(監理技術者補佐)を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでないと定めています。


▶監理技術者補佐を各現場に専任で配置する
▶同一の監理技術者が配置できる工事現場数は2まで(施行令第30条)
▶このとき兼任する監理技術者を「特例監理技術者」という


主任技術者には使えません

この制度は監理技術者を配置する工事に限って使えるもので、主任技術者には適用できません。主任技術者の兼任を検討する場合は専任特例1号を使うことになります。


出典:建設業法第26条第3項ただし書・第4項、建設業法施行令第30条


そもそも監理技術者の配置が必要な工事かどうかは、監理技術者の配置が必要な工事とはの記事で確認してください。


監理技術者補佐になれる人    REQUIREMENTS

監理技術者の職務を補佐する者は、監理技術者がその職務として行うべきものに係る基礎的な知識及び能力を有すると認められる者とされており、具体的には次のいずれかに該当する必要があります。


区分 要件
建設工事の種類に応じた1級技士補であって、主任技術者の要件を満たす者
建設工事の種類に応じた監理技術者の要件を満たす者
※機械器具設置工事、さく井工事、消防施設工事、清掃施設工事は、この②に該当する者に限られます


出典:建設業法施行令第29条/国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」一(2)③


①の「1級技士補+主任技術者要件」がポイント

1級技士補であることだけでは足りず、あわせてその業種の主任技術者の要件も満たしている必要があります。ここを見落として「1次検定に受かったから補佐になれる」と考えてしまうケースがあります。


技士補とは

令和3年度からの新たな技術検定制度において、第1次検定に合格した者に与えられる称号です。1級の1次検定に合格すれば1級技士補、2級の1次検定に合格すれば2級技士補となります。2次検定に合格していなくても称号は付与され、有効期限はありません。


【実務上のポイント】
1級技士補は、主任技術者の資格要件としても使えます(1級の1次検定合格+実務経験3年以上)。2次検定に合格していない社員がいる場合は、まず主任技術者の要件を満たしているかを確認し、満たしていれば監理技術者補佐として配置できないかを検討するという順序で整理すると分かりやすくなります。


技士補による実務経験年数の短縮については、技士補でも営業所技術者になれる?の記事で解説しています。



特例監理技術者が兼務できる範囲    RANGE

兼務できる工事現場数は2までとされていますが、「2現場までなら距離を問わずどこでもよい」わけではありません


兼務できる工事現場の範囲は、工事内容、工事規模および施工体制等を考慮し、次のような元請としての職務が適正に遂行できる範囲とされています。


▶主要な会議への参加
▶工事現場の巡回
▶主要な工程の立会い


また、情報通信技術の活用方針や監理技術者補佐が担う業務等については、あらかじめ発注者に説明し理解を得ることが望ましいとされています。


【実務上のポイント】
専任特例1号のような「移動時間おおむね2時間以内」という明確な数値基準が置かれていない分、発注者との事前の合意形成が実務上のポイントになります。どの会議に出席し、どの工程に立ち会い、補佐に何を任せるのかを整理した書面を用意し、着工前に発注者へ説明しておくことをおすすめします。


責任は軽くなりません    DUTY

特例監理技術者は、その職務を監理技術者補佐の補佐を受けて実施することができます。ただし、その場合においても、職務が適正に実施される責務を有することに変わりはありません


▶特例監理技術者は、職務を適正に実施できるよう監理技術者補佐を適切に指導する
▶監理技術者補佐は、特例監理技術者の指導監督の下でその職務を補佐する
▶特例監理技術者が現場に不在の場合でも監理技術者の職務が円滑に行えるよう、常に連絡が取れる体制を構築しておく


補佐に丸投げできる制度ではなく、監理技術者の責任のもとで職務を分担する制度です。


専任特例1号との違いと使い分け    COMPARE

令和6年12月13日に新設された専任特例1号と、この専任特例2号は、どちらも2現場までの兼任を可能にする制度ですが、内容が異なります。


項目 専任特例1号 専任特例2号
対象の技術者 主任技術者・監理技術者 監理技術者のみ
兼任できる現場数 2まで 2まで
請負金額の上限 1億円(建築一式2億円)未満 金額の上限はない
各現場に置く人 連絡員 監理技術者補佐(専任)
情報通信機器 必須(8要件の一部) 要件としては規定されていない
下請次数の制限 3次まで 制限は規定されていない
計画書の作成 必要 規定されていない


【実務上のポイント】
金額の上限がない点が専任特例2号の大きな特徴です。1億円以上の工事で監理技術者を兼任させたい場合は、専任特例2号しか選択肢がありません。一方で各現場に専任の補佐を置く必要があるため、人材の確保という点では専任特例1号より負担が重くなります。
自社に1級技士補や監理技術者要件を満たす社員が複数いるかどうかが、どちらを選べるかの分かれ目になります。


1号と2号の併用はできません

同一の監理技術者または主任技術者が、専任特例1号を活用した工事現場と専任特例2号を活用した工事現場を兼務することはできません。


専任特例1号の8つの要件は、主任技術者・監理技術者は複数現場を兼務できる?の記事で詳しく解説しています。


書類への記載    DOCUMENT

監理技術者補佐を配置した場合、次の書類への記載が必要になります。


▶施工体制台帳/作成建設業者が監理技術者補佐を置いた場合は、その氏名と資格内容を記載する
▶施工体系図/監理技術者名とあわせて監理技術者補佐名を記載する
▶許可票(標識)/「専任の有無」欄に「非専任(監理技術者を補佐する者を配置)」と記載する


許可票(金看板)の記載事項については、サイズ・様式・掲示場所を解説した記事をご覧ください。


まとめ    SUMMARY

▶監理技術者補佐を各現場に専任で置けば、同一の監理技術者が2現場まで兼任できる
▶このとき兼任する監理技術者を特例監理技術者という
▶主任技術者には適用できない制度
▶補佐になれるのは、当該工種の1級技士補で主任技術者要件を満たす者、または監理技術者要件を満たす者
▶1級技士補というだけでは足りず、主任技術者要件を併せて満たす必要がある
▶機械器具設置・さく井・消防施設・清掃施設の4業種は、監理技術者要件を満たす者に限られる
▶兼務できる範囲は、会議への参加・現場巡回・主要工程の立会いなど元請としての職務を適正に遂行できる範囲
▶情報通信技術の活用方針や補佐の業務は、あらかじめ発注者に説明し理解を得ることが望ましい
▶専任特例1号と違い請負金額の上限がないが、各現場に専任の補佐が必要
▶専任特例1号との併用はできない


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