共同企業体(JV)の主任技術者・監理技術者|甲型・乙型の配置ルール【愛知県の建設業許可】

共同企業体(JV)の主任技術者・監理技術者|甲型・乙型の配置ルール【愛知県の建設業許可】

共同企業体(JV)で工事を施工する場合、技術者の配置ルールは共同施工方式(甲型)と分担施工方式(乙型)で異なります。監理技術者を置く構成員、専任が必要になる金額、共同企業体運用準則が求める資格要件を行政書士が解説します。

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。


公共工事の入札で共同企業体(JV)を組むことになったとき、「うちは技術者を出さなくてよいのか」という疑問が出てきます。
結論として、建設業法上の技術者配置義務は共同企業体の各構成員に適用されるため、原則としてすべての構成員が技術者を配置します


ただし、誰が監理技術者を置くのか、専任が必要になるのはどの場合かは、共同施工方式(甲型)か分担施工方式(乙型)かで判断が変わります。この記事では、それぞれの配置ルールを整理します。



前提:共同企業体には2つの施工方式があります    TYPE

方式 内容
共同施工方式(甲型) 構成員があらかじめ定めた出資比率に応じて資金・人員・機械等を拠出し、一体となって工事を施工する方式
分担施工方式(乙型) 一つの工事を複数の工区に分割し、各構成員がそれぞれ分担する工区で責任を持って施工する方式


技術者の配置ルールは、この違いによって変わります。


共同施工方式(甲型)の技術者配置    KOUGATA

建設業法の技術者配置義務は共同企業体の各構成員にも適用されます。共同施工方式では次のようになります。


▶下請契約の額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上となる場合/特定建設業者たる構成員1社以上が監理技術者を配置する
▶その他の構成員/主任技術者を当該工事現場に配置する
▶請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上となる場合/下請契約の額に応じて主任技術者または監理技術者を専任で配置する(専任特例の場合を除く)


全構成員が技術者を出します

共同施工方式では、監理技術者を置く構成員以外も含めて、すべての構成員が技術者を配置します。「代表構成員だけが技術者を出せばよい」わけではありません。


出典:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」二-二(2)共同企業体における監理技術者等の設置


分担施工方式(乙型)の技術者配置    OTSUGATA

分担施工方式では、分担工事ごとに判断します。


▶分担工事に係る下請契約の額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上となる場合/当該分担工事を施工する特定建設業者が監理技術者を配置する
▶その他の構成員/主任技術者を当該工事現場に配置する
▶分担工事に係る請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上となる場合/設置された主任技術者または監理技術者は専任でなければならない(専任特例の場合を除く)


【実務上のポイント】
分担施工方式では、JV全体の金額ではなく、自社が分担する工区の金額で判定するのが特徴です。同じJVでも、分担額の大きい構成員は監理技術者と専任が必要になり、分担額の小さい構成員は非専任の主任技術者で足りる、という状態が生じます。
JVを組む段階で、自社の分担額がどのラインに乗るのかを確認し、配置できる技術者を用意できるかを検討しておく必要があります。


判定項目 共同施工方式(甲型) 分担施工方式(乙型)
監理技術者の要否 JVの下請契約の額で判断 分担工事の下請契約の額で判断
監理技術者を置く者 特定建設業者たる構成員1社以上 当該分担工事を施工する特定建設業者
専任の要否 JVの請負金額で判断 分担工事の請負金額で判断
その他の構成員 主任技術者を配置 主任技術者を配置



公共工事では国家資格者が求められます    SHIKAKU

公共工事を施工する共同企業体では、共同企業体運用準則に定める構成員の資格要件に従って技術者を配置すべきとされています。


JV工事の主任技術者は国家資格者に

共同企業体運用準則では、JV工事の主任技術者は国家資格を有する者とすべき旨が示されています。実務経験10年で主任技術者の要件を満たしている技術者では、JV工事の技術者として認められない場合があります。


【実務上のポイント】
共同企業体運用準則に従い、各発注機関がそれぞれ共同企業体運用基準を定めることとされています。JVでの入札参加を検討する段階で、その発注機関の運用基準を確認し、配置予定技術者が資格要件を満たすかを先に確認しておくことをおすすめします。


出典:平成23年11月11日付 国土交通省中建審第1号「共同企業体の在り方について」/国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」二-二(2)③


複数の技術者を置くときの整理    ORGANIZE

技術者の配置は原則として1名が望ましいとされていますが、共同施工方式などで複数の主任技術者・監理技術者を配置する場合は、次の整理が必要です。


▶代表する主任技術者または監理技術者を明確にする
▶その者に情報を集約する
▶職務分担を明確にしておく
▶発注者から請求があった場合は、職務分担等について発注者に説明する


現場職員の配置で配慮すべきこと

共同企業体による施工が円滑かつ効率的に実施されるためには、すべての構成員が工事にふさわしい技術者を適正に配置し、共同施工の体制を確保する必要があります。運用マニュアルは、編成表の作成等現場職員の配置の決定に当たり、次の事項に配慮するものとしています。


1 工事の規模、内容、出資比率等を勘案し、各構成員の適正な配置人数を確保すること
2 構成員間における対等の立場での協議を確保するため、配置される職員はポストに応じ経験、年齢、資格等を勘案して決定すること
3 特定の構成員に権限が集中することのないように配慮すること
4 各構成員の有する技術力が最大限に発揮されるよう配慮すること


雇用関係は3か月ルールに注意    KOYO

JV工事の多くは公共工事です。公共工事において元請の専任の主任技術者・専任の監理技術者・専任特例の場合の監理技術者および監理技術者補佐については、所属建設業者から入札の申込のあった日以前に3か月以上の雇用関係にあることが必要です。


▶指名競争に付す場合で入札の申込を伴わないものは、入札の執行日が基準日
▶随意契約による場合は、見積書の提出のあった日が基準日
▶合併、営業譲渡、会社分割等の組織変更の場合は、変更前の建設業者と3か月以上の雇用関係があれば、変更後も恒常的な雇用関係にあるものとみなす


【実務上のポイント】
中途採用した技術者を配置予定技術者として入札に参加させる場合、採用日から入札申込日まで3か月が確保できているかを必ず確認してください。技術者を採用してすぐにJV案件へ充てようとして要件を満たさない、という事態は避けられます。


直接的かつ恒常的な雇用関係の考え方は、出向・派遣・応援の扱いを解説した記事で詳しく整理しています。


JVの前に確認しておきたいこと    CHECK

▶自社が監理技術者を配置する立場になるか(特定建設業許可が必要になる場合があります)
▶配置予定技術者が国家資格を有しているか
▶専任が必要になる金額に達するか
▶配置予定技術者との雇用関係が入札申込日以前3か月以上あるか
▶発注機関の共同企業体運用基準に定める資格要件を満たすか


入札参加資格審査申請経営事項審査(経審)もあわせてご確認ください。


まとめ    SUMMARY

▶建設業法の技術者配置義務は共同企業体の各構成員に適用される
▶共同施工方式(甲型)では、下請契約の額が5,000万円(建築一式8,000万円)以上なら特定建設業者たる構成員1社以上が監理技術者を配置する
▶分担施工方式(乙型)では、分担工事に係る下請契約の額で監理技術者の要否を判断する
▶その他の構成員は主任技術者を配置する
▶請負金額(乙型では分担工事の請負金額)が4,500万円(建築一式9,000万円)以上なら専任が必要
▶公共工事のJVでは、共同企業体運用準則により主任技術者は国家資格を有する者とすべきとされている
▶複数の技術者を置く場合は、代表する技術者を明確にし、情報集約と職務分担を整理する
▶公共工事では、入札の申込のあった日以前に3か月以上の雇用関係が必要


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