

この記事を書いた人/行政書士久遠事務所 代表 猪飼久遠(行政書士/登録番号26191514)
愛知県稲沢市を拠点に、建設業許可の新規取得・更新・決算変更届・経営事項審査を取り扱っています。
「経審を受けたので、これで公共工事に入札できますね」——実は、まだ入札はできません。
公共工事を受注するには、経営事項審査と入札参加資格審査という、性格の異なる2つの手続きが必要です。申請先も、時期も、審査するものも違います。
この記事では、2つの手続きの違いと、公共工事を受注するまでの全体の流れを整理します。
| 経営事項審査 | 入札参加資格審査 | |
|---|---|---|
| 審査するもの | 客観的事項 (経営規模・経営状況・技術力等) |
主観的事項を含む総合的な評価 (発注者が独自に評価する要素を含む) |
| 申請先 | 許可行政庁(愛知県知事)と 登録経営状況分析機関 |
発注機関ごと (国・県・市町村など) |
| 位置づけ | 公共工事の受注そのものの前提 | その発注者の入札に参加する資格 |
| 基準 | 全国共通(建設業法) | 発注機関ごとに異なる |
| 結果 | 経営規模等評価結果通知書 総合評定値通知書 |
入札参加資格者名簿への登載 (等級・格付け) |
| 頻度 | 毎年(決算ごと) | 発注機関の定める周期 |
【実務上のポイント】
一言でいえば、経審は「全国共通のものさしで会社を数値化する手続き」、入札参加資格審査は「その発注者の名簿に載せてもらう手続き」です。
経審の結果(P点)は、多くの発注機関が入札参加資格の等級区分に使います。つまり経審は入札参加資格審査の材料でもあり、同時に受注の前提条件でもあるという二重の役割を持っています。
ここが最も誤解されやすい点です。
公共工事の受注(発注者と契約を締結すること)には、契約締結日の1年7ヶ月前以降の決算日を審査基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書が交付されていることが必要です。
これは、公共工事発注者の入札参加資格の有無とは関係なく、公共工事の受注そのものに対して義務付けられるものです(建設業法第27条の23)。
名簿に登載されていても、契約締結日の時点で有効な結果通知書がなければ契約はできません。
有効期間の数え方は経営事項審査の有効期間の記事で解説しています。入札から契約までに時間が空く案件では、契約締結日の時点で有効かどうかを必ず確認してください。
【実務上のポイント】
発注機関によっては、有効な経営事項審査を失った場合に、入札参加資格の区分が変更されたり、資格が取消しの対象になったりすることがあります。取扱いは発注機関ごとに定められていますので、登録している発注者の要領を確認しておいてください。
経審を毎年途切れずに受け続けることが、入札参加資格を維持するうえでも前提になります。
愛知県が発注する建設工事の一般競争入札・指名競争入札に参加するには、県の入札参加資格審査を受ける必要があります。
▶申請単位/2年度単位(令和8・9年度など)
▶申請方法/あいち電子調達共同システム(CALS/EC)による電子申請。添付書類は郵送
▶紙による申請の受付は行われていません
▶窓口/愛知県建設局土木部建設総務課 契約第一グループ 入札参加資格審査担当
随時受付で申請した場合の入札参加資格の登録年月日(予定日)は、申請書が県に到達した日の属する月の翌々月の最初の県庁開庁日とされています。
経営事項審査の窓口は都市・交通局 都市総務課 建設業・不動産業室、入札参加資格審査の窓口は建設局 土木部 建設総務課 契約第一グループです。
同じ愛知県でも所管部署が異なります。経審の申請時に入札参加資格の手続きが自動的に進むわけではありません。それぞれ別に手続きが必要です。
申請時期・必要書類・申請要領は年度ごとに更新されます。最新の内容は愛知県「入札参加資格審査申請のご案内(建設工事及び設計・測量・建設コンサルタント等業務)」でご確認ください。
なお、市町村への入札参加資格申請も、あいち電子調達共同システムに参加している自治体であれば同じシステムから行えます。ただし登録先の自治体ごとに申請が必要です。名古屋市など独自のシステムを使う発注者もあります。
【実務上のポイント】
愛知県の経審の手引にも、入札参加資格の申請に必要な書類等については、申請先となる国・地方公共団体等に確認するよう案内されています。経審のように全国共通のルールがあるわけではないため、入札したい発注者を先に決めて、その要領を確認するという順序が確実です。
| 順序 | 手続き | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 建設業許可の取得 | 許可がなければ経審は受けられない |
| 2 | 決算変更届の提出 | 経審用の記載方法で作成。提出時に経審の予約を申し出る |
| 3 | 経営状況分析の申請 | 登録経営状況分析機関へ |
| 4 | 経営規模等評価の申請 総合評定値の請求 |
愛知県知事へ。結果通知書が交付される |
| 5 | 入札参加資格審査申請 | 発注機関ごとに申請。名簿に登載される |
| 6 | 入札への参加 | 公告・指名に応じて入札 |
| 7 | 契約の締結 | この時点で有効な経審の結果通知書が必要 |
【実務上のポイント】
最初から数えると、許可取得から実際の入札参加までは相当の期間がかかります。決算変更届の提出から経審の結果通知までで約半年、そこから入札参加資格の登録までさらに時間が必要です。
入札参加資格の定時受付には申請期間が定められています。「この期間に間に合わせるには、いつまでに経審を終える必要があるか」を逆算することが実務上の要になります。
各ステップの詳細は、経営事項審査の流れの記事と決算変更届の記事をご覧ください。
多くの発注機関では、入札参加資格者を業種ごとに等級に区分し、工事の規模に応じて入札できる等級を決めています。
▶客観的事項/経営事項審査の総合評定値(P点)
▶主観的事項/発注者が独自に評価する項目(工事成績、地域貢献など。内容は発注者による)
等級の区分方法、P点と主観点の配分、それぞれの基準は発注機関ごとに定められています。同じP点でも、県と市町村で等級が異なることがあります。
目標とする等級がある場合は、申請先の発注機関が公表している格付基準を直接確認してください。一般的な目安として語られている数値をそのまま自社に当てはめると、判断を誤ります。
P点の仕組みは総合評定値(P点)とはの記事、点数を上げる方法は経審の点数を上げる方法の記事で解説しています。
建設工事の入札参加資格審査では、経営事項審査の結果通知書の提出を求められるのが一般的です。また、仮に名簿に登載されても、有効な経審がなければ公共工事の契約を締結できません。順序としては経審が先になります。
できません。入札参加資格は発注機関ごとです。愛知県の工事に入札するには県への申請、市の工事に入札するにはその市への申請が必要です。あいち電子調達共同システムに参加している自治体であれば同じシステムから申請できますが、登録先ごとの申請であることに変わりはありません。
必要ありません。入札参加資格は発注者と直接契約するための資格です。同様に、下請として受注する場合は経営事項審査も不要です。詳しくは経審を受ける必要がある会社とはの記事をご覧ください。
JVの構成員それぞれに入札参加資格が求められるのが一般的で、発注者ごとにJVの結成要件が定められています。あわせて、JV工事では配置技術者のルールも通常の工事と異なります。JV工事の配置技術者の記事で解説していますので、参考にしてください。
▶経審は客観的事項の審査、入札参加資格審査は主観的事項を含む発注者ごとの審査
▶経審は入札参加資格の有無と関係なく、公共工事の受注そのものに義務付けられる
▶契約締結日の時点で有効な結果通知書が交付されている必要がある
▶入札参加資格は発注機関ごとに申請する。県で取っても市町村には及ばない
▶愛知県の建設工事はあいち電子調達共同システム(CALS/EC)による電子申請のみ
▶経審と入札参加資格審査は愛知県内でも所管部署が異なる
▶等級区分の基準は発注機関ごとに異なる。P点の目安を一般化できない
▶発注機関によっては、有効な経審を失うと資格の区分変更や取消しの対象になる
▶下請として受注する場合は、経審も入札参加資格も不要
経営事項審査から入札参加資格審査申請まで、公共工事の受注に必要な手続きを一貫してお引き受けしています。
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